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ルィスフガーデン

鏡よ鏡。もう少し手加減しておくれ。自分の美しさで目が眩んでまともに鏡も見られない。

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track.71 寂寞の傷痕

ぱち、ぱちと火の粉を散らして薪が爆ぜる。
薄暗がりで、適当な瓦礫に腰掛けた瞳子が陰鬱に焚き火の炎を見るともなしに眺めていた。時折、眼鏡のレンズの下の物憂げな瞳が炎の照り返しの瞬きの合間に見え隠れしている。
その火を挟んで反対側にはピンクの鍔広の帽子とピンクのドレスを纏った小柄な深窓の令嬢……のように見える外皮と形状のイマジン、アリスが座っており、瞳子と同じように炎を照り返していた。

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テーマ:仮面ライダー - ジャンル:サブカル

track.72 例えば灰燼の明日には

「……で?その心当たりって、どこ?」
「ひゃは!まあそう急くんじゃねえよ。俺が最も接近できたルートはもう使えねえ」
瞳子の問いに、ディシェッドは手をひらひら振って応えた。
「どこのどいつがどんな手ぇ使って宇宙丸ごとひとつ創り上げたのかは知らねえが、まあ出来立てほやほやなんだろうな、宇宙境界線が不安定でランダムに流動してやがる。おかげで折角見つけた入り口はもう消えてどっか行っちまった。」
「その、境界線が不安定なせいで入れないの?」
「いいや。」
瞳子の言葉に、ディシェッドがしかめっ面で肩越しに遠くの街並みの建物をひとつ指さした。 続きを読む
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track.73 ノゥエムの世界

十字架をあしらった、まるで巨大な蒸気機関のように無数のパイプが複雑に絡まり合ったパイプオルガンを祭壇に据えた漆黒の広大な空間は、さながら闇色に染められた荘厳な神殿のようだった。
柱に等間隔に設えられたランタンからは紫色の不気味な炎が上がり、室内の全容が見渡せるにも関わらずまるで暗闇の中にいるような錯覚を思わせる。
それもただの暗闇ではない。揺らめく炎に照らされて、部屋中を這い回る無数のパイプとのたうつ影は、まるで脈打つ血管か臓物のよう。
さながら猛毒に侵されたどす黒い臓腑の中にいるかのようだ。
祭壇の前の玉座には、気だるげに身を投げ出して座する黒衣の男。
その身を包むマントには、九本の銀線が描かれている。
痩身の男の整った長髪の下、紫の炎を照り返す丸眼鏡の下からは、時折この部屋よりもなお昏き闇色の瞳が覗き見える。
部屋の中央、入り口から玉座までを縦断する絨毯の真ん中に、ひざまづく異形の姿が唐突に現れた。
否。その異形はクロックアップしてここまで直接やって来たのだ。
玉座に腰掛ける男は微動だにしない。その接近は既に知れていたこと。異なる時間流の干渉を感知していたのだから。
『……王。予定地点に「悪魔の影法師」が現れました。』
深く頭を下げたまま異形が告げる。
その異形もマントを纏っており、それには八本の銀線が描かれていた。 続きを読む
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track.74 なみだのむこう

郊外から離れた場所で、ダークローチたちが偵察に遣った四人のダークライダーがいつまで経っても戻って来ないことに気を揉んでイライラしていた。
やがて業を煮やした一同は、そろって「悪魔の影法師」が現れたとされる地点が見える場所へと移動し、建物の陰からそこを覗き見た。
『……な!? なんだあれは!? 』
前情報では、宇宙境界線に侵入した「悪魔の影法師」は|一体《・・》だと聞いていた。
だと言うのに、そこに二体もの見慣れぬ異形がいるのを見てダークローチらは狼狽した。
『と、とにかく、上に連絡するんだ!』
そして伝達役のキバット族に命令し、その異常を伝えるべく王の元へと飛び立たせた。

ところが、王城へと向かって飛翔していた伝達役のキバット族は、やがて自分がなぜこんな所を飛んでいるのかを訝しんで宙で立ち止まった。
自分が今なにをしていたのかが全く思い出せなくなってしまっており、ただその場でおろおろと宙を漂う。
結局、ディシェッドの所在はどこにも伝わることはなかった。

ディヴォイドの存在隠蔽の影響力はこうして宇宙に浸透しており、効力は確実に働いていた。
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track.75 狂えるミルフィオリ

元ファンガイア族のナンバースリーであったノゥエムの王・ビショップは、その身に八種類の異世界のモンスターを取り込んだ、唯一の九種混合体・エニアゴンである。
自身の出生であるファンガイアに加え、魔術によって蘇らせたグロンギの王「ン・ガミオ・ゼダ」、人間の子供のような姿をしたアンノウンの主である「テオス」、ミラーワールドの基点である少女「神鳥 優衣」、未覚醒状態だった所を無理矢理覚醒させたオルフェノクの王「アークオルフェノク」、ダイヤのカテゴリーキングである「ギラファアンデッド」、魔化魍の育ての親の起源たる存在である「始祖童子」、ワームの最強種たる「グラリスワーム」、「死」という最も忌まわしいイメージから現出した「デスイマジン」。
始祖童子の顔が自分と瓜二つであったことにはそれなりに驚いたが。
いずれもそれぞれの世界では宇宙の基点たる仮面ライダーを凌ぐ最強の力を持つものばかり。
ン・ガミオ・ゼダは一度は破れ去ったが、混合体の素材としては最上のものであり、有用である。
これら全てを自らの内に宿し、ビショップは九つ全ての世界を越える強さを持つ王となったのだ。
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track.76 シークレットマニューバー

『ッガッ!? ガアアッ!? 』
苦悶に呻くディケイゴンの腹からカレイドブレイドを引き抜いてディレイドは着地した。
マシンディレイダーに跨ったアリスも上空を旋回して地上に舞い降りた。
ワールドスライダー同士の高次元干渉から発展した互いの可能性の奪い合いは、ディレイドに軍配が上がった。
(……でも、危なかった……)
マスクの下で、瞳子は勝利の感慨に浸ることなく荒くなった息を必死に抑えていた。 続きを読む
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track.77 シークレットマニューバー 2

《カメンライドゥ・ディレイド!》
閃光を振り払って現れたディレイドが黄色い携帯電話型機能拡張ツール・ディレイフォンを取り出すのと、ディヴォイドがカードを引き抜くのとは同時だった。
《カメンライドゥ・》
《ファイナルカメンライドゥ・カレイド!》
周囲に出現したカードのヴィジョンを一回転して薙ぎ払い、切り刻まれたライドカードの紙吹雪を身に纏ってディレイド・カレイドフォームが現れ、不気味に認証を途切れさせたディヴォイドが輪切りに分離した己の身体を九体の仮面ライダーに変移させた。
『『俺から第四階層のライダーの能力を奪ったところで、俺の中にはまだ三十階層以上の仮面ライダーが取り込まれている!貴様には万にひとつの勝ち目もないぞ!いずれ消耗するのは貴様の方だ!』』
『上等だよ!消耗する前にあんたの中からライダーの能力をひとつ残らず奪い取ってやる!』
『『ほざいただけのものは見せてくれるんだろうな!』』 続きを読む
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track.78 シークレットマニューバー 3

◆アギトの世界◆

「うーーりゃーー!」
だぶだぶの制服を着た郵便局員の瞳子が、眉をVの字に釣り上げて配達用のコンテナを牽引した自転車をせっせと漕いでゆく。
凹凸の少ない舗装道路を走っているのに、自転車が引きずるコンテナがなぜかがたがたと不自然に振動していた。 続きを読む
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track.79 ファイナル・カレイドカメンライド・オーバードライブ!

『……ちっ、忌々しい』
舌打ちと共に呻いた漆黒のディケイド・・ディヴォイドが、唐突に河原から姿を消してしまった。
『あれ……?』
その消えたディヴォイドの声に覚えを感じ怪訝に首を傾げたアギトの肩を、ディレイドがぽんと叩いた。
『油断しないで。ディヴォイドは、ディケイドの人格を模しているだけ。』
『お、おおそれだ。士の声とそっくりだった』
『その「士」とか言う人とは別人だから。 じゃ、またあとでよろしく』
間抜けにうなずいたアギトの前から、ディレイドも僅かに跳ねるようにして姿を消してしまった。
『さあて。』
ひとり河原に残された翔一の役目は、いずれ再びここにディヴォイドが現れた時の為の待機。
意気を上げて掌に拳を打ち当てた所で、背後に郵便局員の瞳子が近寄ってくるのに気付いた。
『あしかわさんっ!』
『おう? 嬢ちゃん、危ねえからさが』
だが振り向いたそこにあった姿にアギトは思わず言葉を失ってしまった。
『死ヌほどくすぐったいですよっ! 』
『なにぎゃあああああああああ!? 』
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track.80 ファイナル・カレイドカメンライド・オーバードライブ!

森深い山々に囲まれた中でぽっかりと拓けた窪地には今、数百もの「鬼」の大軍が入り乱れて戦っていた。
相対するたった九体のディヴォイドは荒波に呑まれた木の葉のように蹂躙されるばかり。
『ぐあああああ!? こっ、こいつら!? 』
数の暴力に散々に蹴散らされディヴォイドが悲鳴をあげた。
いかな「九つの世界」の仮面ライダーに分身したところでこの大軍の中にあってはものの数にもなりはしない。
あっと言う間に大量の音撃斬に殴り飛ばされ、音撃管による無数の鬼石の段幕が雨霰とディヴォイドを打ち据える。 続きを読む
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track.81 get over with

◆ unknown spot ◆

喰い潰されていた宇宙が復元してゆく。
ぽっかりと空いていた「無」を、次々と伸びてゆく光の枝がいくつもいくつも分岐を重ねて瞬く間に埋め尽くしてゆく。
先にゆくほど細くなってゆくが、その分無数の小枝がまるで毛細血管のように伸び続けてゆく様を、瞳子と震《フルル》が並んで眺めていた。
「あの枝の末端の、あの辺があんたの故郷だったんだね。」
ディヴォイドに真っ先に潰されたであろう最下層の宇宙域を眺めて言う瞳子の言葉に、震は答えなかったが、どこか晴れやかな顔で復元されてゆく宇宙を見つめていた。
「……礼は言わないぞ。」
「別に。私もただのついでだっただけだから。」
同じ方向を眺めたまま、互いに目を合わせずに言う。
「鳴滝のボンクラは、未だに恨みが解消できずにディケイドを追い続けるらしい。」
「まあ、好きにすればいいんじゃない? むしろマスターライダーに目を付けられなきゃいいけど。」
同時に、微かに鼻から息が抜ける程度の笑みを漏らす。
やがて、宇宙の復元はあらかた完了したようだった。
「ではな。」
「うん。」
自らの故郷の宇宙域に向かって歩き出した震に瞳子も気安くうなずいた。
震は途中で立ち止まると、僅かに逡巡した様子を見せてから、肩越しに唇を開いた。
「礼は言わないが、……すまなかった。前のディレイドの代わりに、お前に。」
「悪いのはディヴォイド。それで全部。」
ふっ、と微笑むと、今度こそ震は自身の宇宙へと消えていった。
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final track 約束の岸辺

◆ unknown spot ◆

全ての色の光を含むが故の目映い白に満たされた空間を、瞳子はひとり、歩いていた。
足場の感触は確かで見下ろせば自分の身体は見えるのだが、足下には影もなく、周囲を見回しても白、白、白ばかりで広大無辺なのかそうでもないのかも判然としない。
「おい。ディレイド。」
「?」
それは唐突に現れた。
横から無遠慮に声をかけてきた男を、瞳子はゆっくりと振り向いた。 続きを読む
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