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ルィスフガーデン

鏡よ鏡。もう少し手加減しておくれ。自分の美しさで目が眩んでまともに鏡も見られない。

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ディレイドマスカーカレイド track.22 響鬼の世界

河原にディレイドライバーとカードを持った透と斬鬼が並び立つ。
斬鬼は上着を脱ぎ捨て左拳を天に突き上げると、その手首に填められた円環状の変身具・音枷の下端の鎖を引いて露出させた小さい弦を鋭く爪弾いた。
額近くにかざされた音枷から響く特殊な音波によって肉体の変移を促進させる。
『ぬうう……ぜぇええい!』
やがて全身に電光を迸らせた斬鬼はその稲妻を振り払い、鬼の姿を現した。
「変身。」
《カメンライドゥ・ディ・ディレイド!》
カードを挿し入れたディレイドライバーのスライドカバーを抜刀の動作で閉塞し、迅速にその身をイエローのヴィジョンに包み、ディレイドの姿へと転身させる透。

『……ふん。貴様、ディケイドと同等の力を持っていると見て間違いないか?』
『ああ。』
しげしげと姿を睨め回して問う斬鬼に至極あっさりと請け負うディレイド。
『斬鬼さん。透さんは、さっきも敵ワームを撃破してくれました。』
『そうか。』
響鬼の報告にうなずいた斬鬼は、改めてディレイドに問いかける。
『……対抗できるんだな?ワームに。』
『ああ。それがこの世界での俺の仕事だ。』
『それは、この件を片付けるまで協力してくれるという意味か?』
『当面はな。』
ディレイドの応えに斬鬼はやや気色ばんで詰め寄ってきた。
『おい。ワームを全て倒さねば人類は滅びるぞ!なにを半端なことを言っている!?』
『だが、危機に陥っている世界はここの他にもまだ存在している。俺はそちらも対処しなければならない。』
『知ったことか!』
斬鬼が吠えるが、ディレイドは意に介した様子もない。
『だから、今ざっとこの辺の連中を片付けたら、ワームが本来いた世界の仮面ライダーを連れてきてやる。』
『なに!?』
驚く斬鬼に構わず、ディレイドは辺りを見回した。
『それより、早く案内しろ。ワームの巣か、逃走した方面の見当へ。』
「ゼ ク ト の 諸 君!」
そこへ、突然甲高い男の声が響いてきた。
三人が振り向いて見遣れば、川の向こう、森の奥から現れた数人の人影。
喪服姿の女性数人を引き連れ、先頭を黒のロングコートを纏って歩く男が芝居がかった仕草でステッキを振りながら近づいてくる。
やがて奇矯なポーズでぴたりと立ち止まった男は、長髪の下、フレームレスのメガネを引き降ろしてこちらを上目遣いで眺め遣ると、大仰に顔をしかめた。
「なぁにぃ? ゼクトのマスクドライダーではないなあ?は!鬼か!」
相変わらず芝居がかった仕草と口調で嘲るように言う男に、斬鬼は向き直って言い返した。
『……鬼だ。』
「鬼か!ゼクトの代わりに鬼と「悪魔」がいるのかここは!」
舞台役者のように両腕を大きく振りかざして天を仰いだ男は、次の瞬間たいした予備動作も見せずに十メートル以上の距離をいきなり飛び越えてきた。
『なにっ!?』
「ッハァ!」
斬鬼が反応するより速くステッキを振り回した男は瞬く間に無数の打撃で斬鬼を打ちのめし突き飛ばした。
『ッグッ!?』
『斬鬼さん!?』
あまりの展開に驚愕した響鬼の前に男が瞬時に肉迫してきた。
「よそ見している場合かオラオラオラオラ!」
片手でメガネの位置を直す余裕を見せつけながら振り回す男のステッキに打ちのめされたちまち体勢を崩した響鬼も反応する暇もなく吹き飛ばされる。
「ッハッハァ!」
『うああっ!?』
鬼二人がディレイドの左右を吹き飛んでいくより速く迫ってきた男のステッキを、迅速に振り上げたカレイドブレイドが迎え討った。
「ハッ、まだまだまだまだまだまだまだまだ!」
ぱしぱしと手首の返しだけで凄まじい威力の打撃を無数に打ち込んでくるステッキをディレイドは全て無言で正確無比に打ち返す。
「スカしてんじゃないよ生意気だ!」
ステッキの乱打の最中に巧妙に紛れ込んできた蹴りすらも引き上げた腿でブロックし、やがて乱打の途中で淀みなくステッキを放り捨てて攻撃を素手に切り替え一瞬の遅滞なくディレイドに無数の拳を浴びせるが、やはり一瞬でカレイドブレイドをどこかへしまったディレイドも冷静に全ての拳を両手で弾き逸らす。
「ほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほら!」
生身にも関わらずまるでマシンのエンジンのピストンのように残像すら見える程の速度で往復する左右の拳の連打をあくまでも冷静にぱしぱしと払ってゆくディレイド。
お互い五十センチも離れていないその間で四本の腕が複雑に場所を取り合い、両者共に一歩も退かずに打ち合いを続けている。
『……あれが「クロックアップ」か?』
『いいえ、クロックアップはあんなもんじゃないです。見えません。』
男とディレイドの応酬を呆然と眺める斬鬼と響鬼。
その時、遠くで黙って立っていた喪服の女たちがその姿を揺らめかせてその正体を現した。
まるで己が目を覆い嘆き悲しむかのような面相の緑の異形、ワーム。
それも、ザ斬鬼から教えられた、未発達形態の「サナギ体」である。
『ふん。この俺を喪服で出迎えるとはどんな皮肉だ?』
『斬鬼さん、僕たちはあいつらを!』
『ふん、忌々しいが、任せるしかないな』
凄まじい乱打戦を互角に展開しているディレイドを見送り、響鬼と斬鬼は駆け寄ってくるワーム・サナギ体を迎え討った。
ワームは成体まで成長しなければクロックアップはできない。ザ斬鬼から教えられたことだ。
そして、ワームそのものには特殊な属性もなく、鬼の通常攻撃で普通に倒すことができるとも。
『うおあああああ!』
左右の棍棒で、次々とワーム・サナギ体を打ち倒してゆく響鬼。
斬鬼も、専用武器、音撃真弦・烈斬を振り回しワームを斬り伏せてゆく。
『響鬼!打撃だけでは効率が悪い!「火」を使え!』
『はい!』
ワームを打ち倒した間隙を突き、一瞬の集中の後、両の棍棒の先に灯した火球をワームめがけて振り降ろす勢いで投げ放った。
次々と着弾する火球に身悶えするワーム。うち数体が緑色の炎を撒き散らして爆散した。
『はあああ!』
あっと言う間に数を減じてゆくワーム・サナギ体。
だが、その中に表皮がやけに赤く変色したものが現れた。
訝しくは思うものの、それの意味を知らない鬼たちがそれ以外のワームを倒してゆく中で、そのサナギ体は体を膨張させ、やがて表皮が崩れ落ちると中から人型の昆虫めいた異形が現れた。
『しまった!』
残るはそいつだけだったのに後回しにして事態を見送った失策に響鬼が気付いた時には既に遅く。
そいつがふっと姿を消した次の瞬間には響鬼と斬鬼は無数の殴打を喰らい宙を舞った。
『グゥッ!?』
『っだあああ!?』
為す術なく地に落ちる響鬼と斬鬼。
あれほどのサナギ体を蹴散らしたというのに、たった一体のワームが変態しただけで形勢があっと言う間に逆転された。
離れた場所に姿を現して停止するワーム・成体。
『……なん、だ、これは? 速いとかそういうことかこれが!?』
『……なんかもう、「見えない敵」とかでいいですよねアレ……』
あの一瞬のうちにどれほど殴られたのだろう。斬鬼ですら起きあがることができないダメージに、響鬼は腕を上げることもできない。生身だったらとうにバラバラになっていただろう。
『……立て、響鬼!貴様それでも鬼か!?』
『……鬼、です、けどね……』
どうにかもがく斬鬼と響鬼。
だが、もう一度襲われたら二度と起き上れないだろう。
『立てええええええ!?』
『…………!?』
斬鬼はようやく上体を起こし、響鬼は腕と脚を動かした。
だがその時前触れもなくワーム・成体が姿を消した。
……終わりだ。
二人はそれを連想した。
次の瞬間、遠くに吹き飛ばされたように倒れ転がるワーム成体の姿が現れた。
同時に、二人の前に立ちはだかる男の足が目の前に。
「……遅くなった。」
『、まったくだ。』
『助かった……』
斬鬼と瓜二つの容貌の男、黒の武道着を纏うザ斬鬼がそこにいた。

威吹鬼と瞳子と分かれて加速空間を先行したザ斬鬼は、今まさに襲われんとする斬鬼と響鬼の前に割り込み、敵ワームを迎撃した。
「下がって回復に努めろ。こいつは俺が倒す。」
『頼む』
動けるようになった斬鬼が、未だ動けぬ響鬼を引きずって退避してゆく。
改めてワーム・成体に向き直ったザ斬鬼は、その身を揺らめかせ、斬鬼の擬態を解除し正体を現した。
カニの生態相を持つ、漆黒の攻殻に包まれた異形、ウカワームの姿を。
『……擬態を得てみて思ったことがある。』
ザ斬鬼は棘だらけの右腕をかざしてぽつりと呟いた。
『俺たちワームは、なんの為に存在しているのか。世界に間借りしてひっそりと暮らすのでは駄目なのか?』
ようやく立ち上がってきたワーム・成体は、答えず威嚇音を発した。
『……そうか。人の知恵までは得られなかったか。』
言葉という文化が通じぬ同胞に、僅かに瞑目したザ斬鬼は、ゆっくりと、だがしっかりと身構えた。
『今ここで答えが得られれば、共に生きていくこともできただろうが……すまん、ここまでだ。俺に知恵も力も足らぬばかりに。せめて俺がお前を止めよう。』
言って、ザ斬鬼は加速した。
ほぼ同時にワーム・成体も加速空間に飛び込むが、高等種に相当するウカワームには、さらに斬鬼から得た鬼としての体術がある。
本能の赴くままに突進してくる同胞の死角に回り込むと、捕らえたタキオン粒子を体内の器官で破壊エネルギーに変換して右腕に集め、手首を鋏へと変形させるとそれを同胞の脇腹に叩き込んだ。
『…………!?』
『すまない。だが、答えは必ず見つけよう。』
誓いを贈り、腕を引き抜いたザ斬鬼の背後でワーム・成体は緑色の炎を撒き散らして爆散した。
『……。』
ザ斬鬼は続いて遠くの、現実世界で乱打戦を繰り広げている途中の姿勢で固まっている黒コートの男・・仲間に「ノギレイジ」と呼び分けさせていた個体とディレイドを眺め遣った。

「ハハハハハハハハハハ!」
『……。』
疲れなど知らぬ様子で凄まじい攻撃を繰り返す男に、こちらも疲労とは無縁で応戦し続けるディレイド。
なるほど、敏捷性に優れた敵と直接交戦することはナンセンスだ。と透は考えていた。
なにしろディレイドの攻撃を発展させるカードの使用を不可能にされているのだ。
相手の速度に合わせること自体は普通に可能なのでこちらが撃破されることはないが、状況は膠着してしまう。これでは目的が果たせない。
透は珍しく反省していた。
(……今度からは、近付かれる前に殲滅しよう。)
もし瞳子が聞いたら盛大に溜め息を吐かれそうなことを胸中で呟いたその時、異なる時間流の干渉を感知した瞬間、目の前の敵が真横に消し飛ばされていった。
『余計な世話だったか?』
『いや。好都合だ。』
ザ斬鬼と命名された漆黒のウカワームの問いに素っ気なく応える透。
男が遠くへ転がってゆく今の内にカードを一枚抜き出したディレイドは、それをディレイドライバーのスリットに挿し入れた。
剣を両手で構え、抜刀の動作でスライドカバーを閉塞する。
《カメンライドゥ・カ・カブト!》
ベルトを加速機能を持つ仮面ライダーの物に変移させた。
「……キサマァ!この俺に攻撃するとはどういうことだぁ!?」
ようやく起き上がった男が怒りに顔を歪めザ斬鬼に向かって吼えた。
『「ノギレイジ」。俺たちは侵略をやめるべきだ。』
「はぁ?」
ザ斬鬼に「ノギレイジ」と呼ばれた男は大げさに顔をしかめた。
「馬鹿が!擬態する相手を間違えたか!貴様ごとき格下がこの俺に指図するなど身の程を弁えぬ愚行!狂った個体はここで始末してくれる!」
ノギレイジはその場で指を弾いて鳴らした。
『!?』
《クロックアップ!》
別方面から異なる時間流の干渉を感知した瞬間、二人は同時に加速空間に飛び込んで横っ飛びにそれをかわした。
無音になった世界の中で、たった今までディレイドとザ斬鬼がいた場所を駆け抜けていった巨大な質量が地を擦り削りながらノギレイジの手前で停止し、こちらを振り向いた。
およそ十メートル程の山かと思われた。
四本の足を蠢かせて向きを変えるその山は、おおまかには亀に似ていた。
ディレイドの内部の情報領域によればそれは魔化魍オトロシと言う亀が巨大化したような異様に一番近いが、それとは違うと結論している。
本来は爬虫類のような構造・表皮を持っていたはずだが、そのオトロシらしきモンスターの表皮は、黒く艶やかで、あろうことか支持肢がすべて外骨格に変じていた。
背中の甲羅も角質と外骨格を混ぜ合わせた異質と化しており、やがてこちらを向いたその顔は、眼窩の中は眼球ではなく複眼が埋まっており、開いた口の中では牙が一本一本ばらばらに蠢いていた。
もはや生命体としてどうとか言う変化ではない。
存在の融合、爬虫類型魔化魍と、ワームの外骨格の特徴を混在させたそいつは。
『魔化魍とワームのデュアルビーイングか。』
ディレイドが呟いた。
「見ろ!侵略は既に始まっている!」
デュアルビーイングの前足を叩いて示し叫ぶノギレイジ。
「この素材はただの攻撃では死なないらしいな!もはやこいつを止められるヤツはこの俺以外には存在しない!人間どもは全て、気付かぬうちに一瞬で真っ平らになるのだ!ハッハハハハハハハ!」
デュアルビーイングから、まるで無数の虫が一斉にざわめいたような異音が放射された。どうもこのモンスターの咆哮らしい。
『ザ斬鬼。ついて来い。』
『逃げるのか?』
僅かに後退したディレイドの指示に問い返すウカワーム。
『こいつに対処できる策を取りに行く。お前は斬鬼を守れ。』
ディレイドの意図を理解したザ斬鬼はうなずいて、共にモンスターに背を向けディレイドと駆け出した。
「ははははは!デカいクチを叩いておいて逃げるだけか?」
ノギレイジの台詞を遮る轟音を蹴立ててデュアルビーイングがその山のような巨体を突進させた。
駆けるディレイドはやがて木陰に退避した斬鬼とその傍で倒れている響鬼の元へやって来ると、ディレイドライバーにカードを挿し入れてカバーを閉じた。
《ファイナルフォームライドゥ・ヒ・ヒビキ!》
音声が告げるのと同時に、通常の時の流れに置き去りになっている、倒れている響鬼の身体にカレイドブレイドを袈裟掛けに透過させた。
初めて逃げられる心配のない相手をいつもより簡易にカレイドブレイドの支配下に置くと、響鬼の身体は宙に浮かびあがり迅速に回転し変形・変移してゆく。
やがてそこに巨大な鳥型ディスクアニマル・アカネタカが現れた。
『ィッ!? くすぐったい!?』
ばたばたと宙でもがいて悲鳴をあげる巨大アカネタカ。
『って、あれ?なんで僕空を飛んで……あれ?音がしない?あれ?』
状態と状況の変化に戸惑う響鬼。
自分が再び巨大なアカネタカに変身していることに気付いた響鬼は、やがて落ち着いてディレイドに問いかけてきた。
『透さん!? コレ、やるならやるって言ってくださいよ!?』
『ああ。今の俺は加速中だからそれは不可能だった。』
『へ?』
アカネタカが素っ頓狂な声をあげる。
『ここはクロックアップの世界、加速空間だ。』
『えええ?あれ、斬鬼さんが止まって……?へええええ?』
物珍しげに斬鬼と辺りを見回すアカネタカ。
『今は、俺と同調することでお前も加速空間に追従できている。それより響鬼、おしゃべりはおしまいだ。敵が迫っている。』
『あ、はい!わかりました!』
かつての経験から、彼らが自分を変形させる時は最終決戦であると考えた明日夢は気勢をあげた。
『ザ斬鬼、斬鬼を頼む。』
『おう。』
漆黒のウカワームとすれ違い駆け出してゆくディレイドと飛ぶアカネタカ。
やがて、木々を薙ぎ倒して迫るデュアルビーイングの前にやって来る。
『うわああ!? なんですかあれ!? あんな魔化魍見たことないですよ!?』
『あれは、魔化魍とワームが融合した存在、デュアルビーイングだ。もはや通常の攻撃では滅ぼせず、加速されてはただの音撃も通用しない。俺とお前の同調攻撃だけが対抗できる。手を貸せ。』
その異様に面食らう響鬼に迅速に説明するディレイド。
『は、はい!行きましょう!』
『よし。明日夢、お前は上から行け。』
『はい!』
飛翔してゆくアカネタカを見送り、ディレイドはベルトの上面のボタンを次々と押し込んでゆく。
《ワン、トゥー、スリー。》
『ライダーキック。』
呟いてバックルを閉じてゼクターホーンを戻し、すぐさまレバーを引き倒した。
《ライダーキック。》
タキオン粒子変換エネルギーが迸り、その電光は宙に飛び上がると飛翔するアカネタカにまとわりついた。
ファイナルフォームライドによってディレイドと同調している今の響鬼はディレイドの体の一部も同然の状態。ディレイドが引き起こす発展攻撃の恩恵をその身に受けることができる。
『うおおおおお!』
叫ぶアカネタカがデュアルビーイングに突撃する。そのチャージアップを施された体当たりは強靱に変質した山のような甲羅をあっさりと砕き散らした。
『ーーーーッ!?』
相変わらず不気味な音で悲鳴をあげるデュアルビーイング。
ディレイドもカレイドブレイドを引き抜き、モンスターの足下に駆け込んでゆく。
側面に回り込み、飛び込みざまに足に斬りつけその外骨格を砕いていった。
『ーーー!?』
さらにアカネタカに突き飛ばされ、あえなくバランスを崩して横倒しになるデュアルビーイングの巨体。
それを確認してディレイドはカードを挿し入れた剣のカバーを閉じた。
《ファイナルアタックライドゥ・ヒ・ヒビキ!》
モンスターの身体を駆け登ったディレイドは、跳躍して宙にいるアカネタカに飛びかかる。
『今度は言っておく。死ヌ程くすぐったいぞ』
『いーやーでーすー!』
だがあえなくカレイドブレイドの餌食となり、その身を再び変移させてゆく響鬼。
やがて巨大な音撃鼓となった響鬼を抱きかかえ、空中からそれをデュアルビーイング目掛けて投げ放つと、モンスターの腹に命中した巨大音撃鼓はそのまま沈み込んでゆき、より大きな三つ巴の光陣を展開した。
『はあああ!』
着地したディレイドは間髪入れずに光陣に駆け寄ると、振り上げたカレイドブレイドの横面を叩き付けた。カレイドブレイドを撥とした音撃打だ。
『ーーーーーッ!?』
『はあああっ、たあっ!』
デュアルビーイングがあげる悲鳴の中、ディレイドが上体を仰け反らせては何度も何度も剣を光陣に叩き付ける。
大太鼓の音撃の音が、デュアルビーイングの巨体に浸透してゆく。巨体に見合う大きな音撃だ、討伐は間近だと思われた。
だがその時突然、一瞬横を向いたディレイドが真横に吹き飛んだ。
『透さん!? ああっ!?』
制御を失いファイナルアタックライドが強制終了され、アカネタカの姿に戻ってモンスターの腹から吐き出される響鬼。
ごろごろと転がるディレイドとアカネタカが見たものは、先ほどまでディレイドが立っていた所に突如現れた異形、鈍く群青に輝く外骨格を持つワーム・成体。
『そ こ ま で だ悪魔!』
そいつは、ノギレイジの声で告げてきた。
『あいつ!?』
『「フリーズ」、疑似時間停止か。見えてはいるんだがな。』
『ウソ吐けぇ!?』
ディレイドの言葉に思わず声を裏返すノギレイジ。だが確かに激突の瞬間ディレイドは反応していた。
カブトガニの生態相を持つそのカッシスワームは、左腕をいきなり倒れたままのデュアルビーイングの腹に突き刺した。
『ふん!面白い技を持っているみたいだが、「止められた時」にまでは追いつけまい!そして!』
カッシスワームが吼えると、なんとデュアルビーイングの巨体が溶けるように縮んでゆき、圧倒的に小さいはずのカッシスワームにその腕から吸い込まれていった。
完全に吸い込みきると、カッシスワームの身体が二周りほど大きく拡大し、足が地面にめり込んだように見えた。
『……ふぅー。これで俺は無敵だ!さあ、次の瞬間にはお前たちはぺしゃんこになる!ははははははは!』
余裕を含んだ哄笑を上げるカッシスワームが、右手を振り上げた。
それを握り締めて振り下ろそうとした瞬間、漆黒のウカワームが飛び出し、その腕に組みついた。
恐らく今の動作が「フリーズ」のスイッチだったのだろう。それを知っているザ斬鬼が阻止したのだ。
振り払おうとするカッシスワームともみ合いながら、ザ斬鬼が必死に叫んだ。
『行け!ディレイド!神楽見 瞳子はすぐ近くまで来ている!行け!行けぇ!』
『貴様ぁ!? この下等がああああああ!』
『ザ斬鬼さん!?』
響鬼が悲鳴を上げるが、ディレイドは迅速に身を翻すと駆け出した。
『明日夢!急げ!「フリーズ」への対抗策を取りに行く!お前の力が必要だ!』
『うぅ……!? ザ斬鬼さん!すみません!』
僅かに逡巡した響鬼も、叫びディレイドを追って宙を旋回し飛び去った。
跳躍したディレイドがそのアカネタカの足に掴まり、二人は彼方へ飛翔してゆく。

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