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ルィスフガーデン

鏡よ鏡。もう少し手加減しておくれ。自分の美しさで目が眩んでまともに鏡も見られない。

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track.29 鳴滝の手記より。

たとえ他に見る者が居なかろうとも、私はこれを書き留めておこうと思う。

私は鳴滝。あの少女、光 夏海からすれば意外に思われるだろうが、これが私の「名」の全てだ。「姓」にあたるものの概念はない。これが、私という個体の名前なのだ。

まず、「多元宇宙」という言葉について説明しておこう。
そもそも宇宙とは、元はひとつだった。
それが、宇宙内部の可能性を増す度に枝分かれし、「宇宙の外側」から見ればまるで「樹」のように見えることだろう。無数に分かたれた枝を持つ、樹に。
「猿から進化した動物が世界を支配している宇宙」とは別に、例えば猿の代わりに「猫から進化した生物が世界を支配している宇宙」がどこかにあるかもしれない。それが宇宙の可能性。
その「枝」の一本一本の中が「宇宙」なのだ。
そして「宇宙」は内部に住む知性体が何かを選択する度にさらに細かく枝分かれしてゆく。
「あの時、ああしてれば良かった」と思ったことはないだろうか。
その選択をした瞬間から、宇宙は「それを選んだ歴史」と「選ばなかった歴史」に分岐する。
そしてそれが世界に生きとし生ける者の数だけ起こるのだ。
「世界樹の枝」がどれほど膨大な数生まれるか。これで想像に難くないだろうと思う。
これが「多元宇宙」。「並行世界」「パラレルワールド」とも呼ぶ。

当然、「選択をしなかった歴史」へ赴くのが困難なのと同様、他の宇宙へ移ることは基本的にはできない。
だが私の世界は、私がいた宇宙は、他の宇宙に比べその「宇宙境界線」が曖昧な領域だった。その中のひとつの世界だった。
「境界線が曖昧」とは、すなわち光 夏海がお隣の家へ行くのと同じように、私の世界では他の宇宙へ行くことが自然にできる。それがごく当たり前の行為のひとつに過ぎない世界だったのだ。
だから、憎きディケイドを追い光 夏海が属する宇宙に来た時は、その住人たちをなんて不便なんだろうと憐れみを覚えたものだ。
だが、私は思い直した。知性体はすべからく、概念の外にあるものを羨んだりはしない。これで、この世界で彼らは十全なのだ、と。
まあ、それはいい。各々世界にはそれぞれの事情があるのは当たり前のこと。
だが、確信はした。やはりディケイドを危険視すべしとの警鐘を鳴らすのはこの私の天命である、と。

そうだ。ディケイドは世界を破壊する。宇宙を破壊する。
多元宇宙を渡り歩き、これまでもいくつもの世界を破壊してきたのだ。
私の世界と同じように。
ディケイドがいつ、どこからどのように現れたのかは不明だ。私の知覚を以てしても、その初出が過去なのか未来なのかは判然としない。
だが奴はある時突然現れた。あの時、私の世界に忽然と現れたのだ。私の世界にいた者は皆、それを察知しただろう。それが意味するところも。
そして奴は私たちの世界を通り過ぎ、やがて別の宇宙へと消えていった。
その時は皆、ほっと胸を撫で下ろしたのだ。異常なのはその存在だけで、その後に起こるかもしれなかった事は杞憂だったのだと。
記し忘れたが、私たちの宇宙は「宇宙境界線」が曖昧ゆえ、空間だけでなく、時間の概念も光 夏海たちの世界のものとは異なる。私たちの世界では、過去も現在も未来も「ほぼ」等しい。
だが、そこの詳細な説明は割愛しよう。私たちの宇宙にしかない概念ゆえ、それ以外の諸氏に説明すべき言葉が存在しないのだ。
ともあれ、起こるべき災厄を免れたことで私たちは油断していた。
ディケイドがもたらす「災厄」とは、奴が通過した「後」に起こるものだったのだ。
なんたることだ。奴が多元宇宙を徘徊する目的は不明だが、その都度ただ通過するだけで世界は滅んでしまうのだ。
いったいなぜそんなことをするのかは分からない。滅ぼすつもりだったとして、ディケイドはなんら声明を出してはいない。それとも無言でただ宇宙を滅ぼすつもりで滅ぼして歩いているだけなのか。だとしたら最悪だ。
いずれにしても、私の世界は滅んだ。
ディケイドが消えた後、私の世界に相反する概念が流入し、対消滅してしまったのだ。
私は仲間たちと共に滅亡に抗った。だが、まったく異なる概念の浸食に為す術なく、ひとり、またひとりと仲間を亡くし、とうとう自分の宇宙から命からがら逃げ出した私を残して世界は滅びてしまった。

私は絶対にディケイドを許さない。
奴は今、「仮面ライダー」という世界の守護者を存在の基点とした世界が集まる多元宇宙地域に移ったようだ。
悔しいことに、私自身には、ディケイドに直接攻撃できる概念と能力がない。
だが、この「仮面ライダー」の世界が密集する宇宙ならば好都合だ。なにしろ世界に影響力を及ぼす程の力の持ち主が各宇宙に存在している。
彼らの力を借りれば、あのディケイドを倒すこともできよう。
あの「悪魔」を。「世界の破壊者」を。

他の宇宙に二の轍を踏ませない、などとおこがましいことを言うつもりはない。これは私の復讐なのだ。
だが、自らの世界を滅ぼされたくないのは、どこの宇宙の住人でも同じだろう。
仮面ライダーたちに願う。
だから、奴を倒してくれ。私にはもはや、警鐘を鳴らすことしかできない。
絶大な「世界影響力」を持つ彼ら「仮面ライダー」でしか、あの悪魔は倒せないだろう。
どうか。
君らの都合で良い。結果的に悪魔が倒されれば私はそれで満足だ。
どうか。ディケイドを倒してくれ。

そして光 夏海。
もし万が一、仮面ライダーたちでも倒しきれなかったその時は。
君が、君だけが最後の最後の切り札だ。
なぜかディケイドに「選ばれた」君だけが。
なぜかディケイドに選ばれた君ならば、ディケイドを止められるかもしれない。

だが、いかに手記に記そうとも詮無いことかもしれない。
ディケイドの「後から来る滅亡」には、ディケイドに都合の悪い情報を先んじて阻害する影響力がある。
光 夏海を始め仮面ライダーたちの元に直接接触しようとも、私からの肝心の情報は伝達せず、記録媒体に残そうとも当該知性体の認識から除外されてしまい目に触れることすらできないのだ。
だが、こうして書き記さずにはいられないのだ。

希望は、ないのか。

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テーマ:仮面ライダー - ジャンル:サブカル

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