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ルィスフガーデン

鏡よ鏡。もう少し手加減しておくれ。自分の美しさで目が眩んでまともに鏡も見られない。

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track.59 ディレイデッド・龍騎・アギト

◆アギトの世界◆

警視庁内、「未確認生命体対策室」と札の掛けられた部屋の中。
乱雑に物が置かれたテーブルの端で、放埒な髪型と無精髭に似合わぬ白衣を着崩した男がパイプ椅子にだらしなく身を投げ出して座り、新聞を両手で広げて眺めながら、宙に浮いたカップに口をつけてコーヒーをすすり、手も触れずに浮かび上がったパンにかじりついていた。
「んん~。……ふむふむ」
「横着すなっ!」
「んぶふっ!? 」
その男の脳天にいきなり墓石並みにぶ厚いファイル束が叩き落とされ、男はパイプ椅子ごと縦に潰されて紙束の墓標に沈んだ。
途端に宙に浮いていたコーヒーカップとパンが、糸が切れたかのように落下した。
「なにをフッツーな顔して超能力なんか使ってんの!? 誰かに見られたらどうすんのよ!? そんな横着してそのうち手足が退化して芋虫人間になるのがあんたの夢!? 」
さらに女声の激しい罵倒が浴びせられる。
じたばたともがいて手足を動かし頭上のファイル束をどかして立ち上がった男・芦河 翔一は首と顎と後頭部をしきりにさすって縦に縮んだ部分を伸ばすかのようにして呻いた。
「あのな八代。お前は知らんかったもしれんがな、実は俺、殺したら死ぬぞ。」
「へえ知らなかった。これからは試行錯誤して手加減を覚えるわ。 そんなことより!」
ぴしゃり!と片手でテーブルを叩いた八代 淘子警部補は尖り目をさらに釣り上げて翔一を睨み付けた。
「横着してないで手を使いなさい手を! あんたのその超能力が他に知れたら即どっかの研究所のモルモット行きよ!? 分かってんの!? 」
「分かってる分かってる! だから新聞紙でそこから見えないようにしてたじゃねえか!」
「そもそもすんなって言ってんの!」
翔一が入り口に向けてぷらぷらと振った新聞紙をひったくって床に叩きつけ八代がなおも怒鳴り散らす。
「ああもう! どうしてこんな怠惰に横着さすようなオマケがくっついたのかしら!? 」
「普段死にそうなくらい大変な俺に神がくれたボーナスなんじゃねえの?」
「日頃の行いからして、アギト化症状でもまだマイナスだと思うんだけど。」
「まあ、できちまったモンはしょうがねえよな。女子高生のスカートがなぜか風もねえのにめくれんのも神のボーナ」
がし、と翔一の顔面に八代の五指が咬み付いた。
頭蓋がみしみしぎりぎりと異音を立て始める。
「や・っ・た・の?」
「いぢいひぃいいいい!? してねえしてねえ!? まだなんッにもしてねえ!? 」
「ま・だ?」
「いいいひいいいい!? しねえしねえ絶対にしねえってえ!? 」
情けない壮絶な悲鳴が上がるも八代のアイアンクローは緩まる気配を見せない。
「へええ不思議ねええ?お得意の超能力で私の手くらい簡単に振り解けるんじゃあないの?」
「いいいいいやなんかジカに見えてねえと効きにくいってえかああああああ割れる割れる割れるわれるううううううう!? 」
ふと絶叫の最中、翔一に僅かに緊張の気配が走った。
が、ただいま絶賛それどころではない。
翔一の手が八代のアイアンクローを極めている腕をぱんぱん叩きだした。
「ぎぶぎぶぎぶぎぶ!? いやマヂでアレが来たアレ!あんのん、あんのん」
「え!? アンノウン!? 」

「あ~……。まだクラクラすらあ」
ヘルメット越しに側頭部を押さえ呻きながら、翔一はアンノウンが現れたと思しき方面へとバイクを走らせていた。
その気配が強まり、もうそろそろその地点かと思ったところで、翔一のバイクの脇を巨大なトレーラーが猛スピードで追い抜いていった。
「おわ!? あっぶねえなあのやろ」
キャビンが黒塗りのいかにも獰猛そうな雰囲気のその巨大トレーラーは、だがあろうことかこの道路の彼方、翔一がアンノウン出現場所と目していた辺りの路肩に停車した。
「あん? あのバカ、変な所に停めやがって」
腹いせに適当な違反切符切ってから追っ払ってやる、と思いつつ走行を続けていると、トレーラーはその危険な場所で荷台の側面を全開に展開しだした。
「はあ!? なにやってやがんだ!? 」
そんなところで荷物の搬出などされても邪魔だ。
訝しげに思いながら、ほどなく翔一のバイクはそこに着く。
ひとこと文句を言ってやろうとヘルメットを脱いだ翔一の目の前で、トレーラーの荷台から見覚えのある姿がタラップを軋ませてゆったりと地上に降り立った。
「……あ……?」
それは、その横姿は。
見紛うことなき、だが漆黒に染められたG3ーXだった。


◆クウガの世界◆

警察が封鎖している為に無人の高速道路を、一台のパトカーが猛スピードで疾走していた。
ハンドルを握るはひかり。助手席の瞳子は渋面で前方を睨み据えていた。
「……真司君。無事戻ってきたら、キッツいお仕置きだかんね……!? 」
その時突然、天井からみしりと何かが載ったような気配が現れ、ひかりも同時に感じたアクセルの負荷に怪訝顔になった。
「……まさか、ミラーモンスター!? 」
だとしたら、ただの人間に過ぎない瞳子とひかりではひとたまりもない。
だが恐怖におののく二人を余所に、助手席側の窓を上から伸びてきた黒い拳がこんこんと叩いた。
その手首には見覚えがある。ディレイドのグローブだ。
「、透っ!? 」
それに気付いた瞳子は慌てて助手席側のパワーウインドーを下ろし上体を乗り出して上を仰ぎ見た。
思った通り、パトカーの屋根に片膝を付いて鎮座していたのは、とりどりのライドカードの切れ端と様々なベルトバックルを身につけた姿に変移したディレイド・カレイドフォームであった。
「透!あんた……やっと……」
他の世界の瞳子と記憶を共有しているとはいえ、直接会ったのは初めて透が真司を連れてきた時が最後だった。
いつも一緒にいた記憶と同時に懐かしむ感覚がこみ上げるという矛盾した感情が渦巻く瞳子は、素直に感情の奔流のほうに身を任せた。
「もう……! 大変だったんだから!? こっちはずっと、大変だったんだからっ!? 」
「ああ。済まない。」
口調こそ素っ気ないいつもの通りだが、言葉の意味を知った上での謝罪を口にする透に瞳子は言いしれぬ感動を覚えた。
「うん!いいから!来てくれたんだから全部許すよ! それよりいま大変なの!真司君がひとりでこの先にいっちゃったの!」
「ほう。真司はこの先か。」
ディレイドは高速走行中の車の上でも平静な動作で遠くを眺め応える。
「ミラーワールドの「到達不能点」を探しに行ってもらったんだけど、真司君たらぎりぎり戻れるところをぶっちぎって遠くに行っちゃったかもしんないの! お願い透、一緒に探して!? 」
「うむ。もとよりそのつもりだ。 この先だな?」
その淀みない返事の頼もしさに瞳子の瞳に生気が戻る。
そんな瞳子の様子をひかりが物珍しそうに横目で見ていた。
「お前はこのまま車で進め。俺は真司を回収してのちお前と合流する。」
言ってディレイドは走行中のパトカーの上でも危なげなく立ち上がると、僅かに跳ねるような動作と共に姿を消してしまった。
「瞳子さん、いま、上にいるのがその「ディレイド」ですか?」
「うん! いやもう行っちゃったけど」
ひかりの問いに喜色満面で応える瞳子。
「真司君を助けに行くって! とりあえずわたしたちはこのまま直進すればいいから!」
「了解」


◆龍騎の世界◆

『はぁあ……』
王蛇が突如駆け出した。
掌を後方に向けた両腕を広げる独特の構えで走る王蛇が狙いを定めるは、ゾルダ。
『っくっ!? 』
強烈な殺気の呑まれて一瞬対応が遅れたが、剣の届かぬ遠距離にあっては銃器を持つゾルダのアドバンテージは揺るがない。
即座に構え連射した光弾は、迫る王蛇の身体に残らずヒットした。
『っらあっ!』
『なに!? 』
だがまともに喰らった王蛇はまるで何事もなかったかのように衝撃を無視して突進しゾルダを剣で殴り倒した。
『っがっ!? 』
地面に激突し壊れた玩具のようにきりもみして吹き飛んだゾルダの身体はそこの作業棟のトタンの壁を突き破って飛び込んでいった。
王蛇は即座に標的を切り替え、立ち尽くすナイトに迫ると再びそのドリルのような刺突剣を振り上げた。
『うらああっ!』
『くっ!? 』
ナイトは辛うじてウイングランサーでその剣を受け止めるが、攻撃が阻まれたと見るや即座に王蛇が繰り出した蹴りに腹を突かれたたらを踏み体勢が崩れた所に剣を叩き込まれ地面に打ち倒された。
『がっ!? 』
その上ナイトの背中を王蛇の足が力任せに踏みつける。胸郭を圧迫され蓮はまともに息ができなくなった。
『っらあっ!』
『っっ!? 』
さらにまるでサッカーボールをシュートするかのような物凄い勢いの蹴りを脇腹に叩き込まれナイトは「く」の字に折れ曲がって吹き飛んでいった。
『なんだよ!こんなモンなのかよお前らは!』
高く積まれたパレットに飛び込み突き崩し、崩落したパレットの山に埋もれて見えなくなったナイトの末路もろくに見ずに王蛇はすぐさま隣のライアを横薙ぎに殴り飛ばし、即座にガイに襲いかかった。
だが振り下ろしたベノサーベルはガイの厚い装甲に逆に跳ね返されてしまう。
『っ、どこの誰だか知んないけどさあ!今さらただの棒きれなんか効かないっしょ!』
『っはあ!』
対峙した一瞬で互いにデッキからカードを引き抜き、ガイは左肩のカードスロットにカードをぽいと放り込み、王蛇もベノバイザーにカードを叩き込んだ。
《ストライクベント。》
《アドベント。》
どこからともなく飛来したメタルゲラスの頭部を模した、長大なスパイクを生やした手甲を装着した時には既に、ガイの目前に紫色の大蛇・ベノスネイカーが鎌首をもたげ肉迫していた。
『っひゃ!? 』
まるで頭突きのように噛みついたベノスネイカーの頭ごとアスファルトに埋め込また。
だがすぐにくわえられたまま引きずり出され、ベノスネイカーはそのまま隣のビルに首を突っ込むとくわえたままのガイを壁と言わず天井と言わず滅茶苦茶に振り回しあちこちに叩きつけ始めた。
コンクリートを砕く音が激しすぎてガイの悲鳴も苦悶の声も聞こえてこない。
『おのれ!見るに耐えぬ暴虐よ!』
チェーンソーのような大剣を振りかざし、アビスが果敢に王蛇に向け駆け出していった。
『目障りだ!真っ二つになって視界から去ねい!』
『うるせえよばぁか』
迫るアビスに大した反応も見せず王蛇が親指を下に向けると、アビスは王蛇に辿り着く直前に真横から投げつけられたガイの身体に激突されもろとも反対側のトタン壁を打ち砕いて飛び込んでいった。
『……おいおい。こんなモンかよ……』
やがて動くもののなくなった辺りを睨ね回し、溜め息まじりに王蛇がぼやいた。
『こんなモンなのかよ!ライダーバトルってのはよおッ!? ええ!? 』
怒りに任せて地面に叩き付けられたベノサーベルがアスファルトを砕きながら明後日の方角へと跳ね飛んでいった。


◆クウガの世界◆

『ええと、とりあえず、一緒に現実世界に戻ろう。』
「どうして?」
少女・神鳥 優衣に三度質問で返事され、龍騎の強化形態「龍騎サバイブ」となった真司はなおも器用に肩をコケさせた。
生身の人間がミラーワールドに居座ることの危険性は自明の理だと真司は当たり前に考えていたが、神鳥 優衣が平然とここにいる矛盾にまでは頭が回らない。
あたふたと一面の花畑を見回して真司は「言うまでもない当たり前のこと」をどう説明したものかと考えあぐねていた。
『ん~~、と、とにかくさ、ここ、危ないんだ。だから、俺と一緒に逃げよう!』
「でも、おにいちゃんが、ここにいろ、って。」
『ええ!? 』
真司は仰天した。
『お兄さんがいるの!? ど、どこ行っちゃったんだ!? 』
「ちがうせかい。」
『はぁ!? 』
龍騎サバイブは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
『おおおわっけ分かんねええ!? 』
そうして真司はしばし懊悩していたが、やがてどこか諦観のオーラを纏って立ち上がった。
『……おっし。分かった。 あとでそのお兄さんも探してやる。』
「でも。ここでまってろって」
『いーから。知り合いにお巡りさんがいるから、大丈夫。な?』
きょとんとした顔で頑固なことを言う優衣を勢いで言いくるめたつもりになり、龍騎サバイブはデッキからカードを引き抜き、いつの間にか龍の首のようなデザインの銃器に形状を変化させたドラグバイザーツヴァイの尾部を引き側面のカードトレイを展開させるとそこにカードを挿し入れ、再び尾部を押し込んでトレイを閉塞させた。
《ライドベント。》
平時と違いエコーのかかった音声で認証と告げた後、召還されて現れたドラグレッダーもその姿を屈強な巨龍に変移させており、ドラグランザーと名を変えた龍騎の契約モンスターはカードの効果に従いその身をくねらせて変形させ、あろうことか巨大バイクへと姿を変えて龍騎サバイブの傍らに着地した。
『さあ!乗って!』
「あ……」
半ば無理矢理手を引いてシートの後ろに優衣を乗せ、龍騎サバイブはドラグランザー・バイクモードを発進させた。
『っしゃ!いくぞ!』
「ひとさらい~。ゆーかいま~」
『人聞きの悪いこと言わないでくれっかな!? 』
平淡な顔と声でどこかへと訴える優衣にとうとうツッコミを入れ、真司はこの果てが見えぬ一面花畑の一方に見当をつけバイクを走らせていった。

ところが、無数の花を蹴散らして、行けども行けどもこの一面花畑の果てや変化が一向に見えてこない。
『~~~!? どーなってんだこりゃあ!? 』
「どーこーいーくーのー」
『どっか! ここじゃないどっか!』
「ないよー。そんなのー。」
『あるわいっ!? 』
相変わらず平淡に真司のやる事を否定してくる優衣についつい声を荒げつつ、とにかく真司は直進を続けた。
『ええい!到達不能なトコまで来れたんだ!こーなりゃ不能なトコから意地でも還ってやる!』
『……真司』
意気を上げた真司の耳に、どこからか名を呼ぶ男の声が聴こえた気がして真司は辺りを見回した。
『んあ?』
『……真司。こっちだ。』
『その声……透か!? 』
その声を聞くのは久しぶりだが、間違えようはずもない。この世界を真司に任せてからしばらくぶりだ。ようやく戻ってきたのか。
『……真司。こっちだ。』
『はあ!? どっちだよ!? どこにいるんだ!? 』
だが、声はすれども姿が見えず。
距離も包囲も曖昧な声の発生源に混乱しつつ、真司は必死に回りを見回していた。
『おおい!透!』
『真司。どこを見ている。そこから俺の方角は、前後でも左右でも上下でもないぞ。』
『どこじゃいそれッッ!? 』
『仕方ない。危険だがもう少しそちらへ寄る。捕捉しろよ。』
真司の絶叫に透の声が応えた僅かのち、真司の視野に二重映しにバイクに跨ったディレイドの姿が視えた気がした。
『……!?』
だがその姿は、走行中にも関わらず横を向いているようにも、上から見下ろしているようにも感じられ真司は目をしばたたかせた。
やがてそれは、立体視の焦点が合ってくるかのように周囲の光景がぼやけるのと引き換えにはっきりと捉えられるようになり、それと同時にその不可思議な謎の空間感覚を真司はようやく直感的に把握した。
『……透っ!見えたっ!』
『よし。ついて来い』
それは「前」と「進行方向」が連動しているようでしていない、人間の理解を越えた移動だったが、龍騎サバイブと優衣を乗せたドラグランザー・バイクモードはマーブル模様に歪んだ花畑の光景の中をディレイドの誘導に従い、その「先」へと真っ直ぐに貫いていった。

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テーマ:仮面ライダー - ジャンル:サブカル

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