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ルィスフガーデン

鏡よ鏡。もう少し手加減しておくれ。自分の美しさで目が眩んでまともに鏡も見られない。

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track.61 ディレイデッド・龍騎・アギト・キバ

◆龍騎の世界◆

『……思い出したぞ……』
瓦礫を押し退けたゾルダは、朦朧としながらも身を起こし立ち上がった。
『お前、「字倉 威」だろ。』
ふらつきながらも、飛び込まされた工場の壁の穴から表に出る。
『暴行傷害の常習犯で、だいぶ前とうとう何人か殺して仮面ライダー裁判にかけられて有罪判決、ぶちこまれたって聞いたけど?』
『……その名前は、俺も聞いたことがあるぞ……』
パレットの山を押し退けてナイトもふらふらと立ち上がった。
『だとしたら、あの噂は本当だってことか……?』
『なんだ。ちゃんと仕事してんじゃん』
『ほざけ』
作業棟の間の舗道の真ん中に立ち尽くす王蛇を挟んで言い合う。
『だとして、なんでこいつがカードデッキを持っているんだ?』
『そんなことはどうでもいいよ。仮面ライダー裁判の裏方だった権力者なら誰だってどうにでもできることだろうしさ。それよりも。』
ゾルダは、王蛇の方に向き直ってその事実を突きつけた。
『お前、無痛症って本当だったんだな。』


◆アギトの世界◆

『あの八代 淘子が作り上げた、ただでさえ凄まじいパワーを誇るG3ーXを越えるとされるG4を、ただ廃棄するのは惜しい。』
林の中で立つG4が、己の掌で胸板にそっと触れる。
『仮に装着員に恵まれずとも、これほどの技術は運用法さえ編み出せば、アンノウン、及びエクステンドへの対策には非常に有用です。ですので防衛省で回収致しました。別に問題はありませんよね?棄てちゃったんですから。』
黒の巨体が、可愛らしく小首を傾げた。
「ほざけ!そりゃネコババってんだよ!」
腕を振って叫ぶ翔一。
「チップだけじゃねえ!だいたいその強化外骨格自体はどうやって作った!? 見様見真似で作れるもんじゃねぇぞ!? よしんば完成したとして、肝心の中身が保たねえだろが!死ぬぞ!? 」
『そう言われましても。』
激高する翔一とは対照的にG4は、水城 理沙は気楽な態度で器用に肩をすくめて見せた。
『さきほど言いましたよ? 覗き見は私の得意技なんです。 それと、現にこうしてきちんと運用できています。』
「…………!? 」
青いセンサーを睨み付け、翔一はきつく唇を噛む。
『それにしても、僥倖でした。』
あくまでも暗い声音で朗らかに水城が言った。
胸の前で両手を合わせる芸の細かさだ。口調と相まって、どこか馬鹿にされているニュアンスを感じ、翔一はより苛立ちを増した。
怒りのあまり「なにがだ」と問い返す気も起きない。
だが水城は頓着しないようだ。・・その翔一の心証も心得ているように。
『私は、お二人にも用事があったんです。』
「……あ?」
完全にチンピラの威嚇のように聞き返す翔一に、G4は嘲るようにあとを続けた。
『アンノウンが狙うは「アギト化現象」発症者のみ。ですが、アギト化患者は被害者にして同時にアンノウンへの貴重なカウンターでもあります。』
G4は、語りながらゆっくりと振り向いて歩き出す。
『人類を守る為ですから、その存在自体は有益です。ですが、アンノウンが一掃されたあとはどうでしょう?』
「……てめえ……」
既に水城の言いたいことに見当がついたのか、翔一が押し殺した声で呻く。
だがG4は意に介さない。
『ただの人類にとってアンノウン消滅後は、今度はアギト化患者が有害な存在となります。アギト化患者が牙を剥いたら、ただの人類には身を守る術がありません。』
「だから、てめえがアンノウンも、ファンガイアも、俺たち「アギト」もまとめてたたんでやろうって寸法か!? 」
『御明察。』
翔一の絶叫に、くるりと振り向いたG4が指先を差し出した。
『……|GS-032《ジーエスオーサーティートゥー》。』
《デストロイヤーカスタム、レディ。》
続く呟きに認証が応え、同時にG4の両前腕の装甲が変形し大型ナイフの刃が出現した。
刃が展開されると同時に微かな音が聞こえ、その刃の輪郭がぶれ出した。
超高周波振動ソード。毎分二百万回振動し、一メートルの鉄板すら紙のように斬り裂く。
自ら装着したことのあるG3ーXのデータを思い出しながら翔一はウィブを後ろ手に下がらせながら後退した。
『警視庁では活動に制限があるでしょう? いつぞや以来、G3ーXは姿を見かけませんし。』
「ありゃちょいと余所の世界に旅行に行ってんだよ」
『余裕だこと。いずれにせよ、国防の要は我々防衛省が担います。安心して……逝きなさい!』
G4が、両腕の振動剣を振りかざして襲いかかった。
翔一とウィブは互いを突き飛ばして左右に身を翻してそれを躱した。
草の上を一回転した翔一は、腹部で腕を交差させ肘を引くとオルタリングを出現させる。
淀みない動作で立ち上がった翔一は、拳法のように構えた手刀を上に、そして前に突き出し。
「変身!」
<i10343|538>
絶叫と同時に交差させた両手をベルトの両側面に押し当てた。
オルタリングを中心に両腕で二つの力の循環の経路を描いた翔一の身体は輝きに包まれ、やがてその中から黒地のボディに黄金の装甲を纏った戦士・アギトが姿を現した。
『ぬうう……』
アギトは再び拳を交差させて集中すると、再び掌をベルトの両側面へと押し当てる。
すると再び輝きに包まれ、アギトの右腕が赤に、左腕が青に染まった。
これが、翔一がこれまでの戦いの中で得たアギトの発展形態。超越精神と超越感覚の力を同時に顕現したトリニティフォーム。
『独自に進化を遂げましたか!なおさら生かしてはおけませんね!』
一瞬の交錯ののち、アギトに狙いを定めたG4は両腕の刃を振りかざして踊りかかった。
アギトはベルトバックルの前に両手をかざすと、バックルの中心から突き出た二本の棒を掴み、引きずり出したそれでG4の振動剣を打ち払った。
甲高い激突音が林にこだまする。
右手に赤のサーベルを。
左手に青の双刀の槍を。
両腕を広げて構え、アギトは押し殺した声で告げた。
『……てめえは、一年間ほど化け物に追い回されたことはあんのかよ。這々の体で逃げ回り、死にたくねえばっかりに戦わなくちゃいけなくなったことはあんのかよ!』
最後には絶叫となるも、G4には聞こえた様子もない。
『なぁにが国防だ!理解する努力もナシに悪即斬たぁさぞかし楽だろうよ!は!国防のリスクは、本来国民全員で背負うもんじゃねえのか!? 』
『我々は、そのリスクを負う力を持つことを国民から託されています。』
『防衛省が先手必勝を掲げてどーする!? 俺ぁ死なねえぞ!「命」ってな生きてるだけで神のボーナスだ!絶対に生き延びてやるからな!うあああああああ!』
アギトは、咆哮と共にG4へと駆け出していった。


◆龍騎の世界◆

ライオンの生態相を持つ異形・地のエルロードとG3ーXが激しく激突した。
互いのパンチが互いを跳ね飛ばし、再び交錯して激突を繰り返す。
『お前!こいつらのボスか!? どうしてこんなことをするの!? なんで殺そうとするの!』
『……ここは人間の為の世界だよ。人間たちが、僕たちに守られながら穏やかに暮らす世界だよ。 その人間を脅かすものは、なんであろうと排除するよ。』
『おびやかしてないじゃんっ!』
G3ーXの、糸矢の絶叫と同時の一撃がエルロードを激しく殴り飛ばした。
『ボクはみんなと仲良くしたいと思ってるよ! ボクの故郷の人間たちは、みんな分かってくれてたよ! 分かってくれるヒトもいるのに、どーしてそれができないのっ!? 』
『人間以外の存在など、知ったことではないよ。』
『わからずやっ!いじわる!偏屈!』
少年の姿をした者の言い種に、癇癪を起こしたG3ーXは一言区切りにエルロードを殴りつけ最後に大きく吹き飛ばした。
続く動作でどこからともなく削岩機のような円筒を取り出すと、右腕に装着し先端のアンカーワイヤーを射出した。
それは迅速に巻きつきエルロードの上体を絡め取って拘束し身動きを封じた。
『お前なんか、こうだ!』
叫び、背中にマウントされていた収納状態のガトリングガン「ケルベロス」を取り出して展開変形し、さらに先端に赤い弾頭を装着して、そこでもがくエルロードに振り向けた。
『ン~、ファイア!』
トリガーを引くと同時に射出された弾頭がワイヤーに絡まれてもがくエルロードに激突し、もろとも甚大な爆発を引き起こした。
『どうだ!』
やがて黒煙が風にさらわれて晴れたそこには、燃え残ったエルロードが完全に突っ伏して倒れていた。
『……おのれ、よくも……』
少年が、これまでとうって変わって仄暗い怨嗟の声を絞り出す。
その表情のまま、す、と片手を伸ばすと、あろうことかエルロードの体が光に包まれ浮かび上がった。
『……戻っておいで。お前の使命はまだ終わってない。』
すると、姿を溶け崩して光の球となったそれは、少年の体内に吸い込まれて消えてしまった。
『……人間以外の種の繁栄など認められない。消えろ』
G3ーXを睨み付けた少年の、再びかざした掌から爆発的な光が溢れだした。
「っひゃっ!? 」
あまりの光量に瞳子は手をかざして顔を背けた。
G3ーXはセンサーの感度を調整して事なきを得たが、それでもやがて糸矢の視界がホワイトアウトするほどの光だ。なにも見えない。
『なに!? こら!まぶしくて見えないぞ!』
闇雲に手足を振り回して抗議するG3ーXだが、触れるものはなにもない。
だが突然、G3ーXの全体を激しいスパークが迸り身体を衝撃が走り抜けた。
『あっ!? がっ!があああああッ!?』
やがて連続的な爆発と光が収まったあとには、全身各所から煙を漏らして立つG3ーXの姿が現れ、だがすぐに体勢を崩し膝を付いてしまう。
「……い、糸矢さんっ!? 」
耐用限界を越えたG3ーXの装甲は、ベルトを残して空中に溶けるようにして消え、あとに残った糸矢は前のめりに突っ伏してしまった。
「糸矢さんっ!? 糸矢さんっ!」


◆龍騎の世界◆

『僕の銃撃をまともに喰らってもびくともしなかったことと言い、お前、字倉だろ?』
なお訊ねるゾルダに、王蛇は気だるそうに振り向いた。
『……昔、頭に刺さった釘の先っぽが、引き抜く時に折れて残って、それが神経かどっかを圧迫してるってんで、そん時から痛ぇのが分かんなくなっちまった。手術でも取れねえ所に入っちまってどうにもなんねえ』
指先でとんとんと頭を突いて、どうでも良さそうに言う王蛇。
『でもよ、痛ぇワケねえのになんでかズキズキする気がすンだよ。……イライラするぜ……』
ぼやくように吐き捨てた王蛇は、言いながらデッキからカードを一枚引き抜いてベノバイザーのトレーに載せて叩き込んだ。
《ストライクベント。》
認証と共にどこからともなく飛来した、ベノスネイカーの鎌首を模した巨大な盾が付いた手甲を王蛇は左前腕に装着した。
まるで王蛇の左腕が丸ごと契約モンスターであるベノスネイカーになったかのように見える武装である。
『……だからよ。お前ら、全力でかかって来いよ』
その縁にスパイクを生やした盾付き手甲をかざし王蛇が再び殺気を放ち始める。
『痛ぇのが分かんなくってイマイチ生きてる気がしねえんだよ!お前ら、てめえの願いを叶えンのに他のライダー全部殺すんだろ!? やってみろよ!俺と殺し合え!』
絶叫し、王蛇はナイトに踊りかかった。
振り下ろされる巨大な毒蛇の手甲にナイトはバイザーで受け流そうとするが、王蛇のストライクベントはとてつもない重さで剣を弾いてしまい、体勢の崩れたナイトを、王蛇の返す手甲が殴り飛ばした。
『がッ!? 』
『はっはあ!』
嘲笑を吐く王蛇の背中に無数の光弾が命中し弾けた。
衝撃でつんのめりはしたが、本当にダメージを受けていないように普通の動作で王蛇はゾルダを振り返ってきた。
『っか~、ホントに効かないでやんの』
『ぬる過ぎんだよ。もっと気合いを入れろ!』
『……じゃあ』
吼えて踊りかかって来る王蛇を見据え、ゾルダはデッキからカードを引き抜いた。
『気合いの入った奴、いってみよっか』
そしてマグナバイザーのトレイにカードを載せて押し込んだ。
《ファイナルベント。》
終末の認証を告げたのち、ゾルダの前の地面から緑の巨人、ゾルダの契約モンスター・マグナギガが浮上して出現した。
そのマグナギガの背中にマグナバイザーを差し込み接続する。
『でくの坊が!デカきゃ勝てると思ったか!』
だが一切意に介さず王蛇が猛り、いまだ距離は開いていると言うのに腰溜めに構えた左腕の手甲をまるで正拳突きのように突き出した。
するとベノスネイカーの首の形をした手甲の先端から、その牙から紫色の霧が吹き出した。
それは迅速に辺りに広がり、その霧に触れたマグナギガが突如身悶えし始めた。
『毒霧かっ!? 』
パワードスーツによって呼吸を保護されている仮面ライダーには効果はないようだが、ミラーモンスターはそうはいかない。これは厄介な能力だった。
『ちっ!? でももうファイナルベントは発動している!喰らえ!』
それでも契約モンスターの苦悶に構わずゾルダは接続したマグナバイザーのトリガーを引いた。
その途端、全身のハッチを開放し、全武装を展開するマグナギガ。
だが毒に侵されて悶えるマグナギガの状態ではまともに狙いを定めることができず、あちこちを向いた砲門は全て、まるで見当違いの方向へとビームを、ミサイルを撒き散らした。
辺りを無数の光条と爆発が蹂躙した。
やがて晴れた煙の向こうにはだが、無傷で立つ王蛇の姿があった。
『……くそっ!? 』
『終わりか? ……なら、死ね!』
疾く駆け出す王蛇。ゾルダのデッキにはもうカードは残っていない。
そして付近に鏡が見当たらない。ミラーワールドからの脱出すらできない。
(万事休すか!? )
そうゾルダが臍を噛んだ、その時。
王蛇とゾルダの中間地点に突如膨大な光が出現し、その中から飛び出した何者かが王蛇のストライクベント・ベノファングを打ち払うとパンチひとつで王蛇を激しく吹き飛ばした。
『……な、誰だ!? 』
ゾルダの前には、三人の新たな人影が現れていた。
王蛇を殴り飛ばしたそいつの背中には特徴的なジベットスレッドが見受けられることから、仮面ライダーであることが分かる。
そしてその赤い装甲。北尾はオーディンの姿は見知っている為、消去法でいけば、こいつは長らく行方不明になっていた『龍騎』に間違いないだろう。
そして、黄色と黒とシルバーの装甲を纏った見たこともない仮面ライダーと、あろうことか、生身の少女がその傍らに立っていた。
呆然とするゾルダの前で、王蛇を吹き飛ばした体勢を解いた『龍騎』は、辺りを眺め回して、そこらで倒れる他の仮面ライダーを一人一人確認すると、やおら大声で叫んだ。
『……お前ら……もう、こんな下らない裁判は、やめろぉっ!』
…………。
『『はあ!? 』』
龍騎の唐突で見当違いの台詞に、この場にいる全ての仮面ライダーの怪訝な声が唱和した。


透の導きで元の世界に戻ってきた真司は、そのままライダーバトルの直中に飛び込み戦闘を妨害した。
なぜか全員に呆れた返事をされたが、そんなことはどうでもいい。龍騎は左掌に右拳を打ち当てた。
『真司。これで俺の頼みは終わりだ。あとはこの世界の問題だ。』
『ああ。分かってる。優衣ちゃんも俺に任せて、お前はお前の使命のほうに行ってくれよ』
『分かった。 助かったぞ。真司。』
『よせよ。らしくねえ』
透の言葉に手を振って応えた真司にうなずくと、ディレイドはその場から姿を消してしまった。
『さあて。俺は、俺の戦いをする!こんな馬鹿げた戦いは、絶対にやめさせてやるからな!』
『……お前、真司か?』
そこに、ナイトがおずおずと声をかけてきた。
『は? え?あれ?蓮さんまた「ナイト」やってんの?』
『「また」? なんのことだ真司?』
ディケイドが介入した事件の記憶を持っているのは、タイムベントの行使者である真司のみ。
他の人間は、時を巻き戻され事件の事実を「なかった事」にされた為に、以前のことを「知らない」のだと気付いた真司は話の食い違いをようやく理解した。
『ああ、いや、なんでもねえ。……あ、ごめん蓮さん。ただいま。』
『おかえり。 ……って、そんな場合じゃないぞ真司!お前、誰に吹き込まれてライダーバトルに参加した?何が目的だ?』
『いや。俺のはたまたま手に入っただけで、裁判所の選任は受けてないんだ。』
『……裁判所って、お前……今のライダーバトルの事情を知らないのか!? 』
『は?なんだよそれ』
『おい。』
言い合うナイトと龍騎の間に、不機嫌そうな王蛇の声が割り込んだ。
『ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ。要はここにいる奴らは殺し合いをやってんだよ。 ……お前はちっとは手応えがありそうだなあ』
首に手をあてぐるりと頭を回した王蛇は、ストライクベントを解除されて手ぶらの状態だと言うのに一切頓着せず拳を構えて龍騎に襲いかかった。
『さっきのをもう一回やってみろよ!』
『うわあああああ!? 』
慌てふためいてかざした両手を振り回す龍騎サバイブは、だがナイトの肩を押し遣って退けると、王蛇の拳の連撃をぱしぱしと打ち払って捌き、その上王蛇を殴り返して吹き飛ばした。
『あわわわわ!? こういうの苦手なんだよ俺!? 』
『『…………。』』
その王蛇を簡単にあしらう龍騎の強さに、ナイト、ゾルダを始め、ライア、ガイ、アビスが呆然としていた。
言っていることはとんちんかんなのに、能力はとても高い。
『……てめえ……』
押し殺した声で怨嗟を吐きながら起きあがる王蛇。
先ほどまでの余裕が見る影もなくなっている。
『おもしれえよ。てめえは俺の獲物だ。俺を殺せ!』
『いやいやいや!? なに言ってんのかさっぱり分かんないからあんた!? 殺人はやだって!? 』
あれほどの攻防を繰り広げたライダーとは思えない声で、腰を引きながら両手を振る龍騎サバイブ。
王蛇は聞く耳も持たずににじり寄る。
他の者はカードを使い切っており、各々離脱の隙を伺っている状況だ。
《ファイナルベント。》
そこに、全く別の方角から認証の声が聞こえ、全員がそちらを振り向いた。
すると、離れた場所に黄金の仮面ライダー・オーディンが現れており、あろうことか終末のカードを装填し、背後に金色の魔鳥・ゴルトフェニックスを従えていた。
『なにっ!? 』
『あいつは!? 』
最強のライダーの突然の出現に浮き足立つライダーたち。龍騎と王蛇は泰然としていたが、他のライダーは完全に泡を食っていた。
だが、すでにファイナルベントは発動されている。
一声甲高く鳴いたゴルトフェニックスが迅速に飛翔しこの一帯をひと薙ぎすると、辺りに金色の羽が舞い散らばった。
『!? 』
『これは!? 』
オーディンのファイナルベントを見た者はまだ誰もいない。手札を切らせている為にほとんどのライダーが恐れおののいていた。
まるで雪のように周囲を埋め尽くす金の羽。
だが、旋回してきたゴルトフェニックスが上空ではばたき翼から輝きを放つと同時にそれらの羽が全て甚大な爆発を巻き起こした。
広範囲に高密度にばら撒かれた羽による爆発の連続。かわす術は、一切ない。
爆発は、広大な工場の敷地の全てを多い尽くしてなにもかもを巻き込み吹き飛ばした。


ライダーバトルが行われていた工場施設から離れた、ミラーワールドの異なる場所に優衣は現れていた。
爆発の渦中にいたにも関わらず傷ひとつなく、煤も汚れもついてはいない。
茫洋とした顔でどこをともなく眺め、海中の海草のようにふらふらと立っている。
「……優衣!」
「……おにいちゃん?」
そこにやって来た神鳥 士郎が、優衣の名を呼んだ。
優衣も、変わらぬ顔で兄を振り向く。
「探したぞ優衣! あそこでおとなしく待ってろっつったのに、どこ行ってたんだ!? 」
言って、安堵を苛立ちの混じった顔で駆け寄る士郎。
「でも、見つかって良かった。 もうちょっとだぞ優衣。もうちょっとで俺たちの目的が」
ぱし。
肩に触れようとした兄の手を、優衣はすげなく振り払った。
「……優衣?」
「……。」
掌を呆然と眺め、譫言のように妹を呼ぶが、優衣はいつもと違い、どこか怒ったような顔で兄を睨み付けていたのだ。
「わたしにさわらないで?」
「優衣……どうしたんだ……」
訳が分からない、といった顔で妹を見つめるが、優衣は相変わらず不安定な立ち方で士郎を睨み付けている。
「きづいたの。わたし。 なんとなく、わかっちゃったの。 ……わたしの、ほんとうのせかいが。」
ゆらゆらと立つ優衣の背後に、士郎は山ほどもある巨大な「何か」が立ちあがるのが見えた気がした。
「優衣!そいつは!? 」
「あっちいって。おにいちゃん。」
その呟きと同時、優衣から、あるいは優衣の背後の「それ」から巨大な波動が吹き付け士郎を大きく押し退けた。
「なっ!? これは!? 」
為す術なく舞い上がり吹き飛ばされる士郎。無人の街を越え、優衣の姿がみるみる遠ざかってゆく。
それでも士郎は懸命に手を伸ばした。
「馬鹿な!? 優衣!優衣ーーーっ!? 」
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ここから先は、龍騎の世界の物語。
宇宙の接触崩壊の問題とは関係なく、ディケイドの、ディレイドの干渉も関係なくこの世界独自の物語をこれから築いてゆくことになる。

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