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ルィスフガーデン

鏡よ鏡。もう少し手加減しておくれ。自分の美しさで目が眩んでまともに鏡も見られない。

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track.79 ファイナル・カレイドカメンライド・オーバードライブ!

『……ちっ、忌々しい』
舌打ちと共に呻いた漆黒のディケイド・・ディヴォイドが、唐突に河原から姿を消してしまった。
『あれ……?』
その消えたディヴォイドの声に覚えを感じ怪訝に首を傾げたアギトの肩を、ディレイドがぽんと叩いた。
『油断しないで。ディヴォイドは、ディケイドの人格を模しているだけ。』
『お、おおそれだ。士の声とそっくりだった』
『その「士」とか言う人とは別人だから。 じゃ、またあとでよろしく』
間抜けにうなずいたアギトの前から、ディレイドも僅かに跳ねるようにして姿を消してしまった。
『さあて。』
ひとり河原に残された翔一の役目は、いずれ再びここにディヴォイドが現れた時の為の待機。
意気を上げて掌に拳を打ち当てた所で、背後に郵便局員の瞳子が近寄ってくるのに気付いた。
『あしかわさんっ!』
『おう? 嬢ちゃん、危ねえからさが』
だが振り向いたそこにあった姿にアギトは思わず言葉を失ってしまった。
『死ヌほどくすぐったいですよっ! 』
『なにぎゃあああああああああ!? 』

左右反転して無人となった都心の巨大交差点を走る龍騎の前に、突如虚空から滲み出た黒い水滴が垂れ落ち、地上でひとかたまりになると垂直に練り上がって人型を成し、ディヴォイドとなった。
『……おい、おまえの力、よこせ』
『こいつだーー!』
ところが龍騎は、手をかざして迫るディヴォイドを見るなり指先を突きつけて唐突に叫び声をあげた。
『どっちも吹き飛びなよ』
《ファイナルベント。》
続いてあらぬ方から認証の声が聴こえるや否や、ディヴォイドの元に無数のミサイルが雨霰と降り注いできた。
『なっ!? 』
当の龍騎はとっととどこかへと走り去ってしまっていた。
残されたディヴォイドのいる地点に全てのミサイルが残らず着弾しいくつもの爆音を轟かせた。
『ちょっとお!? いま「どっちも吹き飛べ」とか言わなかったか!? 』
『ライダーバトルをなんだと思ってんの』
物陰から慌てた様子でまくし立てる龍騎の文句に、緑色の巨人・マグナギガを従えた緑の銃士・仮面ライダー ゾルダが気だるげに応えた。
『事のついでに他人を出し抜こうと考えるのは当たり前でしょ?』
『当たり前じゃありません先生っ!? 』
ところが、ゾルダの背中をいきなり瞳子が叩いてきた。
『ええっ!? 瞳子くん!? 』
弁護士としての弟子にして北尾の事務所の所員であり、カードデッキを持たない瞳子がこのミラーワールドに現れた異常に目を白黒させたゾルダが慌てて振り向くと、そこには見たことのない黄色い仮面ライダーが立っており北尾の混乱の渦はさらに勢いを増した。
『……って、なにその格好、って、 えええ!? 』
『驚いているヒマはないですよ先生! あれ!』
さすがに泡を食っているゾルダの肩を叩いて瞳子が指さした先を見遣ったゾルダは未だ黒煙を吹き上げる爆心地から九体の人影が飛び出したのを見てさらに仰天した。
『うわあ!? また仮面ライダーが増えたのかい!?』
『あれはやっつけてもいいヤツです先生! でっかいのをかましちゃってください!』
現れた九体の謎の仮面ライダーのうち、一体だけ北尾に見覚えがある者がいた。
雑誌カメラマンの辰巳 真司とかいう男が変身するものとは別の「龍騎」がもうひとり現れたのだ。
『……なんで、あれ……』
ところが、あちこちに散らばって襲いかかろうとしていた九人の仮面ライダーのうちのその「もう一人の龍騎」を、横から飛びかかった何者かがひっ捕まえて路上を転がっていった。
そいつも黄色いボディスーツを纏っており、有り体に言って隣の瞳子と同じ様な姿をしていた。
『……は?』
『真司くんと間違えられちゃ、困るからね!』
『貴様あ!』
組み合った黄色い仮面ライダーと「もう一人の龍騎」が組み合いもみ合いながら別の路地へと転がり込んでいった。
『ほら先生! 危ないですよ!』
『へ?』
呆然とする北尾の前では、残りの八体の見知らぬ仮面ライダーが半数が龍騎に、半数がゾルダに向かってきていた。
『う、うわ!? 』
慌てて自らのバイザーを構えて応戦しようとしたゾルダの前で、まるで割った桃のようなマスクをかぶった仮面ライダーを突如現れた黒い颶風が真横から吹き飛ばしていった。
『ぼおっとしてるなよ弁護士先生』
マントを翻して着地した蒼の騎士・仮面ライダー ナイトが眇に顎をしゃくって忠告し、腰から引き抜いた細身の剣型のバイザーを引き抜いて見知らぬ仮面ライダーを打ち倒した。
『へへっ。こんだけクソ入り乱れてたら硬いモンに有利っしょ』
『ほう。これほど死の臭いが色濃い者も珍しい』
『ひれ伏しなさい! いまさら雑魚の居場所などわたくしの領地には一寸もなくてよ!』
そこに、ガイが、ライアが、アビスが突入し、手当たり次第に攻撃を始めた。
『あああなにこれこんなぐちゃぐちゃした戦いなんて美しくないよ』
謎の仮面ライダーを含めた生き残りの仮面ライダーたちの混戦の坩堝に、北尾はあからさまにヒいていた。
『なに言ってるんですか先生! あの見たことのないヤツをやっつけないと、ライダーバトルもへったくれもなくなるんですからね!』
『ああ、瞳子くんまでなんか物騒なこと言い出し始めた……』
悲嘆に暮れる北尾の耳に、この乱戦の喧噪を越えてなにか轟音が近付いてくるのが聞こえてきた。
ついでに、肌が泡立つ感覚も。
『……え? うそ、これってまさか……』
恐る恐る振り向いた先に、いま一番見たくない姿がドリルのように捻くれた剣を振り回して爆走してきていた。
『おぉぉれぇぇもぉぉ、まぁぁぜぇぇろぉぉぉぉぉぉぉ!!』
『『うわああああ!? 』』
その紫色の毒蛇のような姿の仮面ライダー 王蛇の剣の一薙ぎで、そこで戦っていた仮面ライダーたちが見覚えの有無問わず吹き飛ばされていった。

『うあああああ!』
ディヴォイドの龍騎だけを別方面に連れ出したディレイド・カレイドフォームは、突き飛ばした龍騎にさらにカレイドブレイドを叩きつけた。
『ぐうう!? 貴様あ!』
殴られて後退ったディヴォイドは、取り出した一枚のカードを左腕のドラグバイザーに挿し入れてカバーを閉じた。
《キック。》
それは、本来ブレイドが持つカード。
ディヴォイドは、九体に分かれていても、全ての身体が全ての仮面ライダーの能力を使うことができる。
ブレイドのキック技の能力を付与した龍騎は両掌を水平にして両腕を広げると、腰を落として身構えた。
途端に地面に広がった龍の顔のような光の紋章が渦を描いてディヴォイドの足から吸い込まれていった。
アギトの力をも取り込んだ龍騎は、裂帛の息吹と共に大きく跳躍した。
『はあっ!』
跳躍軌道の頂点で身を捻り、跳び蹴りの姿勢に移行したディヴォイドを前に、ディレイドはカレイドブレイドの刀身の溝を指先で一閃し、ベルトバックルを掴んで振り払い回転させた。
《ファイナルアタックライドゥ・カレイド!》
『ああああああああ!』
流星のごとく迸るディヴォイドの蹴りが、輝きを放つカレイドブレイドを振りかぶるディレイドに襲いかかる。
激突と同時に巻き起こる甚大な爆発と轟音。
やがて煙が晴れた跡にいたのは、剣を振り下ろした姿勢のディレイドのみ。
龍騎の姿は跡形もない。
『くっ!? 』
すぐに離れた地点に九つの人影が現れると一カ所に集まり、再び一体のディヴォイドへと変移した。
『神楽見さん!』
そこへ、ディレイドの後を追ってきた真司が変身する龍騎がやって来た。
『真司くんっ! やるよっ!』
『おうっ! って、なにをうひゃーーー!? 』
問い返す真司に応えずディレイド・カレイドフォームが後ろ手に手を振ると、たちまち龍騎の身体が浮かび上がり迅速に回転・変形しドラグレッダーへと変移してしまった。
『えええいっ!』
構わず、そこから疾く駆け出したディレイドは鋭く跳躍し、宙で身を捻ると蹴りの姿勢に移行、弧を描いて背後に現れたリュウキドラグレッダーが吹き出した火炎を背に受け、砲弾の勢いでディヴォイド目掛け急降下した。
『ぃやああああああああ!』
『おおおお!? 』
アスファルトを大きく抉って粉々に吹き飛ばしたディレイドの蹴りに、ディヴォイドの身体が派手に弾き飛ばされて路面をごろごろと転がり消えていった。
『まだまだ! 序の口よ!』
『ちょ、ちょっと神楽見さん!? 』
『文句は後でね!』
元の龍騎の姿に戻り、突然のファイナルフォームライドのショックでふらふらしている真司の抗議を手を振って流すと、ディレイドもさっさと姿を消してしまった。


背後に野山が広がる流星塾の校庭に、己の武器を肩に担ぐカイザと、ボディスーツ表面を真っ赤に染めたファイズがブラスターを構えて立っていた。
瞳子に言われた通り、「あっても、危険なので使わなかった装備」のうちのひとつ「ファイズブラスター」をも持ち出して初めてブラスターフォームに変身した巧だったが、滅多に持ったことのない物騒な銃器に恐々としていた。
『……あの、神楽見さん。 ほんとにコレ、必要なの……?』
『今さらナニ言ってんのよっ!? 』
いつの間にかディレイドの姿に変身していた瞳子が、カイザとファイズの間で腰に手を当て仁王立ちしていた。

これが「ファイナル・カレイドカメンライド・オーバードライブ」の効果のひとつ。
「九つの世界」の瞳子たちを全て同一にディレイドへと変身させ、「絵描きの瞳子」との完全同期連携を行うことを可能とする。
「絵描きの瞳子」と意識を繋いだことにより、「九つの世界」の瞳子たち全員が既にこの状況を心得ていた。

『ある意味ディシェッドなんかよりもヒドいのが来るんだから! あのロケットみたいなバイクが直ってたら、それも持ってきたところよっ!』
『……壊れててよかった……』
透が関わった戦いで擱坐したジェットスライガーの威力を思い出し、巧の背に寒気が走った。
『とにかく!』
より声を張り上げた瞳子が、びしりと指先を突き出して校庭の反対側にある一本の樹を指し示した。
『これから、合図と同時にあの辺に向かってありったけ一斉発射すること! いい?』
『おう!』
瞳子の指示に、カイザに変身した相模原がカイザブレイガンを構えて応えた。
『おう巧ぃ。恐いんじゃったらガッコウに帰ってあの女に甘えとってもええぞ』
『……こ!? 』
嘲るように顎をしゃくったカイザに、ファイズは一瞬だけ激昂しかけたが、
『……恐いけど、由里ちゃんを守る為なら、やるよ。』
『へいへいゴチソウサン。』
『ひゅーひゅー。』
『ちょ!? なにその平坦な冷やかし!? 』
距離を離して適当な茶々入れをする二人にファイズが伸び上がって叫んだ。
『っと、さて二人とも! そろそろ来るからちゃんと構えて!』
『……!』
瞳子の合図に、途端に戯けをやめて武器を構え直すファイズとカイザ。
『……三、二、いち……撃てえっ!』
『痛い!? 』
合図と同時に瞳子の蹴りがファイズの尻に炸裂した。
突如校庭の真ん中に、なぜか地面を転がるようにして出現した黒い人影への攻撃はカイザブレイガンの黄色い光弾のみで、ファイズブラスターの赤いビームはあらぬ方へ飛んでいってしまった。
『ヘタクソッ!』
『神楽見さんっ!? 』
『先行くぞ』
不条理に怒鳴り合う二人を余所にカイザブレイガンを逆手に持ち変えたカイザが駆け出してゆくのを見て、慌ててファイズ・ブラスターフォームも駆け出した。
ファイズ・ブラスターフォームは、走りながらファイズブラスターのグリップを囲む赤い円環の縁に並ぶ数字のキーを順に押し込みエンターキーを押した。
《ブレイドモード。》
たちまちファイズブラスターの砲身部分が溶け崩れるように変移し長大なフォトンブラッドの刃と成す「フォトンブレイカーモード」へと移行した。
『どおおっせいやああああああ!』
ファイズ・ブラスターフォームが追いつく頃には既に、カイザが黒の人影・・ディヴォイドを殴り倒していた。
相変わらず使い方を知らないのか、カイザブレイガンのフォトンブラッドの刀身ではなくまるでメリケンサックのように×字の筐体自体で殴りつけているが、それでも殴り倒されたディヴォイドが地面に埋まる馬鹿力である。
『でやあああ!』
ファイズ・ブラスターフォームも続いて駆け寄り、転がるディヴォイドめがけてブレイドモードを振り下ろした。
が、巨大なフォトンブラッドの刃は地面を大きく抉り飛ばしたのみでそこにはもうディヴォイドはいなかった。
『巧ッ!』
相模原の警告と共にカイザの蹴りがファイズ・ブラスターフォームを押し退けた跡を、鋭く飛翔した火球が貫いていった。
体勢を立て直したファイズとカイザが見たものは、漆黒のディケイドの代わりに周囲に現れた九体の仮面ライダーの姿だった。

『修!加勢するぞ!』
そこに、朽ちかけた木造の校舎から塾生のオルフェノクが数人駆け出してきた。
『待って! 敵は全員フォトンブラッドでの攻撃ができるんだから!近付いちゃダメ!』
慌てて瞳子が塾生のオルフェノクたちの前に立ちはだかった。
分身したディヴォイドは九体で一体。ファイズ以外の身体からもファイズの技を出せるのだ。
『……なるほど。ディケイドと同じような能力ということだね』
『は。こないだ行ってきた異世界の連中のもあるわ。』
ディヴォイドの分身を見回して、そこにいるブレイドを見て巧と相模原がめいめい呻いた。
その時、塾生を宥める瞳子とディヴォイドのファイズがあらぬ方を振り向いた。
それと同時に虚空に出現した輝きの中からディレイド・カレイドフォームが飛び出し、ディヴォイドのファイズ目掛けてカレイドブレイドを振り下ろした。
『やああああああ!』
だがディヴォイドの反応のほうが一瞬だけ早く、割り込んだファイズエッジと音撃棒と龍騎の手甲が同時にカレイドブレイドを阻んだが、ディレイドは力任せに三体の防御を押し切りディヴォイドのファイズを地面に押し倒した。
『ああああああああ!』
左右からアギトの、キバの蹴りが加えられるがディレイドは構わずにカレイドブレイドを振り下ろしてディヴォイドのファイズを叩き潰してしまった。
巻き起こる赤い爆発。
すぐさま離れた場所に無傷のファイズが姿を現した。
『っがああああ貴様ッ!? 』
『巧! 相模原! 総攻撃!』
『応!』
ディヴォイドの怨嗟に構わず張り上げたディレイド・カレイドフォームの声に、相模原が気勢を上げて応え、ファイズも黙してブレイドモードを構え、ディヴォイドの仮面ライダーに攻撃を仕掛けた。
総勢十二人が入り乱れる混戦模様だが、巧がブラスターフォームに移行している為ディヴォイドのファイズと誤認することはない。もっとも、誤認の心配をすべきはディレイドと接続していない相模原のみだが、当の相模原はそんなことは気にしていない。
ディヴォイドのクウガが装甲の形状と色を変化させた。
それと同時に響鬼が構えている音撃棒が二本ともタイタンソードへと変化し、一本がクウガに投げ渡された。
『がああああっ! 力を! 寄越せッ!』
クウガが振り下ろしたタイタンソードをカイザが武器で受け止めるが、全く同時にブレイドとカブトに胴を殴られて吹き飛ばされた。
『させるかっての!』
叫ぶディレイド・カレイドフォームが響鬼が振り下ろしてきた大剣を、電王の飛翔する剣をカレイドブレイドで打ち払い、キバの、アギトの蹴りを捌き、あるいは受け止めて跳ね返すが、とうとう龍騎とファイズがファイズ・ブラスターフォームを捕まえた。
『うわ!? うわあああ!? 』
巧の悲鳴が上がる。深紅のボディが掴まれた所から見る見る色彩を失ってゆくのだ。
ディヴォイドのファイズは既に数段階層も下のものの為、肩を揺すっただけで簡単に振り解けたが、そこに響鬼も押さえ込みに加わった。
『ちっ!? 』
付きまとうアギトとキバを振り払おうとするが、回避に徹したディヴォイドのマークはなかなか振り切れない。
『少しは頭使うようになったじゃないの!』
『黙れ! せめて一匹でも吸収すれば!』
そこへ、比較的静粛な駆動音と共にオートバジン・バトルモードが後輪のローターで飛翔してきた。
戦場の上空でホバリングすると、左腕のバスターホイールを地上へと向けて高速回転させ、ガトリングガンを斉射しだした。
『うわわわわわわ!? 』
ファイズ・ブラスターフォームを中心に撒き散らされる無数の12mm弾。
それなりに強力な兵器だが、高出力フォトンブラッドを全身に纏ったブラスターフォームにはまるで効きはしない。だと言うのにまるで雹か霰を撒かれたようにぱらぱら弾く装甲の中で巧はびっくりしていた。
だがまとわりついていたディヴォイドを排除するには充分だった。
怯んだ隙を突いてファイズ・ブラスターフォームがディヴォイドの仮面ライダーたちを振り払う。
『今っ!』
『巧っ!』
巧の身が解放された瞬間に二人の瞳子の声が重なり、巧の背後に学生の瞳子が変身したディレイドが駆け寄ってきた。
『死ヌほどくすぐったいよっ!』
『へ? って』
そのまま巧の返事も待たずに瞳子がファイズの背中に手を突っ込んで左右に振り払った。
『いひゃーーーー!? 』
悲鳴と共にファイズ・ブラスターフォームが宙に浮かび上がり迅速に回転・変形し巨大な銃「ブラスターファイズ」へと変移してしまう。
なぜかカラーは反映されていないシルバーの巨大銃を担ぎ上げたディレイドは、巧が持っていたファイズブラスターをディレイド・カレイドフォームに放り投げ、受け取ったカレイドフォームと同時に発射態勢を取った。
『『喰らえ!』』
発射。
深紅の十字砲火がディヴォイドの群を焼き尽くす。
『ぐおおおおおおお!? 』
『はっ! まだまだあ!』
間髪入れずにファイズブラスターを投げ捨てたディレイド・カレイドフォームが駆け出してゆく。
地面に投げ出され元の姿に戻ったファイズ・ブラスターフォームはへなへなと校庭にへたり込んだ。
『……ひ、ひどいよ神楽見さん……』
『『うっさい』』
瞳子の返事は、ふたりそろってにべもない。
すぐさま離れた場所に出現したディヴォイドの腹に足裏を叩きつけて別の世界へ吹き飛ばした。


『今だ! カードを切れ!』
採石場跡地にディヴォイドが転がり込んでくるや否や、ディレイドの姿に変身したウエイトレスの瞳子の指示が飛び、広場の四方を囲むように待機していたブレイドを始めとする四人の仮面ライダーたちが一斉に己の持つカードを複数枚引き抜いてはラウザーに通していった。
《スラッシュ。》《バレット。》《サンダー。》《ラピッド。》《トルネード。》《スクリュー。》《ファイア。》《ブリザード。》
四基のラウザーの認証音声が重なり合い、やがて各々が効果を発揮し始めた。
《ライトニングスラッシュ。》
『ぅえええええええいッッ!』
裂帛の息吹と共に振り下ろしたブレイラウザーの刃の軌跡から飛び出した稲妻の斬撃がディヴォイドのいる地点に突き刺さり、さらに次々と飛来するギャレンの、カリスの、レンゲルの放った属性弾が着弾しては爆発がいくつも巻き起こった。
『やったか!? 』
『まだだ!』
一真の声に瞳子が鋭く警戒を飛ばす。
思った通り、もうもうと立ちこめる土埃の中から九騎の仮面ライダーに分身したディヴォイドが飛び出してきた。
ところが、ディヴォイドはこの世界に四人の仮面ライダーがいると知りながら、九体全てが一直線にブレイド目指して駆け出してきたのだ。
他の三人の仮面ライダーは、この広い採石場を囲むように立っている。援護に駆け寄るにしてもディヴォイドとの距離の差はあまりにも大き過ぎた。
『は! あたしがそれを読んでないとでも思ったか!』
ブレイドの|真横《・・》にいたディレイドが叫んで手を振り上げた。
『一真っ! 死ヌほどくすぐったいけど我慢しろ!』
『やっぱりかよぎゃーーー!』
やおら隣のブレイドの背中に手を突っ込むとブレイドブレードへと変形させ、一振りして正眼に構えた。
『うらあああああ!』
『があっ!? 』
出会い頭に真っ先に辿り着いたディヴォイドのカブトを殴り倒し続くアギトとファイズをも横薙ぎに吹き飛ばした。
あっと言う間に三体が爆発して消滅し、離れた地点に一階層下のアギト、ファイズ、カブトが出現する。
『えひゃあああああ!』
どうにも情けない悲鳴のような絶叫と共に、ようやく追いついてきたレンゲルがディヴォイドの仮面ライダーの群に飛びかかった。
《バイト。》
ラウザーにカードを通し、宙で身を捻ったレンゲルは大きく開脚してディヴォイドのブレイドに踊りかかっていった。
『ああああああああ!』
前後に振り切った両足を勢い良く閉じ合わせて相手を挟み込む強力なクロスキックが炸裂し、ディヴォイドのブレイドはたちまち爆発して消滅してしまった。
『っぐおおおおお!? 』
『まだまだあ!』
すぐさま離れた地点に出現したディヴォイドのブレイド目掛けてレンゲルは疾く走り、駆け寄りざまに槍を叩きつけ、横殴り、振り下ろし、蹴り倒し、たちまち圧倒してしまう。
『シネやオラああああああ!』
『っぎゃーーーーー!』
またしてもディヴォイドのブレイドが爆発した。
三度離れた位置にブレイドが出現する。
『もいっちょう!』
『マテ。』
さらに駆け出そうとしたレンゲルの後ろ頭を、元の姿に戻ったブレイドが蹴倒して踏み潰した。
『ぶぎゅ!? 』
潰れたカエルのような苦鳴を漏らしたレンゲルの頭を踏み押さえたまま、屈んだブレイドがレンゲルの腹からベルトを引き抜いてしまった。
たちまち変身を強制解除され、ブレイドに踏まれたまま黒葉 睦月の姿に戻ってしまう。
「……絶好調だなあ睦月。」
同様にブレイドも変身を解除してしまい、オリハルコンエレメントが通過した後から仄暗い顔で冷たく見下ろす一真の姿が現れた。
「な、なにするんですか一真さん!? 早くディヴォイドをやっつけないと!? 」
「おーおー大した意気だな。 ところでお前はナニか。ブレイドのカタチしたモンに何か文句でもあんのか?」
後頭部から踏みつけられ地面とキスしている睦月に一真のドス黒い笑顔が見えたはずもないが、睦月はわたわたと虫ケラのようにもがき始めた。
「……い、いや!? ボクはただ、世界の脅威を一刻も早く倒したいと切に願う次第でありまして」
「ダレが世界の脅威だコルァアアアア!」
「ぎゃーー! ぎゃーー!」
とうとうキレた一真がまるで振動コンパクタのような凄まじいスピードで靴底の連打を叩き込み、睦月の頭部がみるみる地面に沈み込んでいった。
『遊んでる場合かよ!? 』
そこへ忍び寄っていたディヴォイドの響鬼をディレイドが飛び込みざまに蹴り飛ばした。
そのまま一真と睦月の前に立ち塞がりディヴォイドの電王とクウガを殴り返してゆく。
『ったく、一真をキレさすなんて、黒葉もたいがい進歩しないわよね』
『……お、瞳子お姉ちゃん!? 』
突如カリスの横にディレイド・カレイドフォームが脈絡無く出現するなりぼやきを漏らし、初が喫驚の声をあげた。
『初ー! また会えてよかったー!』
ところが、ディレイド・カレイドフォームがいきなり声色を変えて手を振り回し賑やかにしゃべり出したのを見てカリスのマスクの下で初は驚愕に眼を見張った。
『……その声、アリス!? ……生きて……』
『うん。訳あって今「こっちのわたし」と一緒にいるけどね』
がらりと態度を変えて瞳子の声で語り出すディレイド・カレイドフォーム。
『詳しい話はあとで。今はアレを倒すのに協力してくれる?』
『はい!』
意気を上げ、カリスがぴょんと跳ねて前に向き直った。
『よし、いい返事! 死ヌほどくすぐったいけど大丈夫だよね!』
『はい!    え?』
瞳子の言葉に既視感を感じた次の瞬間にはディレイド・カレイドフォームの手がカリスの背中に突き込まれ、振り払うと同時にカリスの身体が宙に浮かび上がった。
『あーーーーーー!』
迅速に回転、変形し、やがて四本の弓が交差したようなカリスグレイルへと変移してしまう。
『さあディヴォイド!壊して壊して、壊してやるから!』
『……ちょ、おねえちゃ』
巨大な傘の骨のような弓を掴み大きく跳躍したディレイド・カレイドフォームはカリスグレイルを引き絞り、地上でウエイトレスの瞳子と戦うディヴォイドの群に狙いを定めた。
『喰らえ!』
解き放たれたカリスグレイルから無数の光の矢が飛び出し、地上のディヴォイドの群へ雨霰と降り注いだ。
『なっ!? がああああああああ!? 』
あちこちで巻き起こるいくつもの爆発でディヴォイドの仮面ライダーが次々と消滅してゆく。
世界影響力を持つ仮面ライダーとしか接続していないディヴォイドに、カリスのファイナルフォームライドはまるで想定外だったろう。
感情を植え付けられたディヴォイドは「狼狽」してしまい対処が遅れたのだ。
『さあて!悪いけど、まだ油断しないでね!』
カリスグレイルをウエイトレスの瞳子に投げ渡し、ディレイド・カレイドフォームは着地寸前に別の世界へ跳び姿を消した。


『ぐうっ!? 』
爆撃に乗じて宇宙を離脱したディヴォイドは別の世界の地面に転がり落ちた。
『……おのれ…… ここは「響鬼の世界」か』
せめて一体でもこの階層の仮面ライダーを取り込めば状況をひっくり返せる。
そう思って響鬼のいる方向へ歩き出したディヴォイドの聴覚に、地を揺るがす怒濤の音が聴こえてきた。
『なに……?』
地殻運動かとも思ったが、違う。
だがそれを察知した時には既に、全包囲の森の中から無数の「鬼」が襲いかかってきていた。
『な!? うわああああ!』
うおおお、という「鬼」たちの怒号にその狼狽の声は掻き消され。
たまらず九騎の仮面ライダーに分身するが、ディヴォイドは あっと言う間に「鬼」の大群に飲み込まれてしまった。

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テーマ:仮面ライダー - ジャンル:サブカル

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